子育てしながら働く

皆さんご存じの通り、近年、「働く女性」は増え続けています。夫婦共働き世帯は年々増加傾向にあり、厚生労働省の共働き世帯数の推移によると、2020年では約68%の世帯が共働き世帯となっています。

私も今年の8月に子どもが1歳になるタイミングで育休から復帰しました。出産後も働きたいと思っていたとはいえ、生活環境がガラリと変わった後の仕事復帰はやはり不安なこともありました。

今回は、これから妊娠・出産を控えている方や育休復帰される方、子育てしながら仕事復帰をしようと考えている方に、実際に産育休を取得することで改めて知ったことや、私自身の経験談もふまえて仕事復帰までの流れのポイントやそれに伴う制度などについてお伝えしたいと思います。

出産、育児に関する制度

<産休育休制度>

産前・産後休業、育児休業は以下の期間で取得できます。

  • 産前休業・・・出産予定日を含めた産前6週間前
  • 産後休業・・・出産の翌日から8週間
  • 育児休業・・・子どもの1歳の誕生日の前日まで
    (保育園に入所できない等の特定の条件を満たす場合は、最高2歳まで延長可能)

    ※期間を定めて雇用されている場合、育児休業の取得は申請時点において次の要件を満たす必要があります。
    「子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと」

<出産に関する手当>

  • 出産育児一時金
    公的医療保険制度(健康保険、国民健康保険等)の被保険者および被扶養者が出産したときに支給される手当
  • 出産手当金
    出産のために会社を休んだ際に支給される手当。勤務先の健康保険の被保険者であることが条件となります。
  • 育児休業給付金
    雇用保険の被保険者が1歳未満の子を養育する目的で育児休業を取得した際に受け取れる手当

仕事復帰への準備

出産をすると、休む間もなく慣れない育児がスタートしますね。子どもが1歳になるまでの育休期間は長いように思いますが、あっという間に過ぎていきます。仕事復帰する時期が近づいてくると、仕事復帰に向けた準備を始めなくてはいけません。まずはその第一歩として、子どもを預ける保育所選びが必要になります。保育所を決める際には以下の点を検討する必要があります。

  • 入所、申し込みのタイミング
    年度途中は入りづらく、4月入所は申し込みの締め切りが早いです。
  • どこの保育所にするか
    公立or私立、家からの距離、通勤の経路、保育所の雰囲気など
  • 誰が送迎するのか
    ご家族としっかり話し合う機会を設けることが大切です。

保育所の入所が決まると、慣らし保育がスタートします。慣らし保育期間は子どもが保育所に慣れることはもちろんですが、自分自身がずっと一緒にいた子どもと離れて働くということ、今後どのような働き方をしていくのかを改めて考える期間でもあると思いました。

また、スムーズに仕事復帰するためには、あらかじめ職場への確認や相談をしておくことが必要だと思います。

  • いつから働くのか
  • 勤務時間(フルタイムor時短、残業の対応)
  • 子どもが病気で休む時の対策
  • 具体的な仕事内容

職場にしっかりと相談しておくことによって、お互いに安心して働く環境を作ることができると思います。

仕事復帰して感じたこと

正直、産前に思い描いていた仕事復帰よりもスムーズにいかないことの方が多かったです。

出産して子育てしてみると、予想以上に子どもが小さく、こんな小さな子が保育所に行けるのだろうか、子どもの面倒を見ながら仕事復帰できるのだろうかと入所時期を悩むこともありました。

保育園が決まり、慣らし保育がスタートすると子どもが大泣きして嫌がったり、集団生活のため初めて体調不良になったりと焦ることもありました。

いろいろなことに悩んでいる時に会社の先輩ママから「たくさん悩みましょう!たくさん考えて悩んで、自分で答えを見つけられたら、きっと納得できます。どんな結果を出しても、きっと子どもの順応性の高さを思い知らされることになると思います!」と言われました。

その言葉の通り、子どもは、今まで泣いていたのがウソかのように毎日元気に嬉しそうに保育所に行っています。私自身もたくさん悩んだ結果、今の働き方を選択しているので楽しく仕事をすることができています。

「働きたいけれど、今は子どもが小さいから働けない」という方がいらっしゃいます。いろいろなことを考えて、子どもが〇歳になるまでは働かないと決められている方は、「専業主婦」というキャリアを選ばれていると思うので、それももちろん素晴らしいことだと思います。ただ、「本当は働きたいのに」と思っているけれど、なかなか仕事復帰への一歩が踏み出せないと感じられている方は、勇気をもって「子育てしながら働く」ことにチャレンジしてみてはどうでしょうか。「働こう」と気持ちを決めるだけで、考え方や視点が大きく変わり、働くために何が必要なのか、頼れる人や頼れる物が見えてくると思います。

私も仕事復帰して間もないので、まだまだ不安に思ったり、悩んだりすることが多いです。実際に職場では、子どものお迎えや体調不良などで時間的な融通が利かなくなり、復帰前にできていたことができなくなり周囲に申し訳ない気持ちになったり、家では仕事から帰ってバタバタと家事をしていると、子どもとしっかり遊べてないな。と思ったりすることもあります。そんな時は働いている意味がわからなくなり、自分を責めるような気持ちに陥ることがあります。

経験から得たこと

子育てをしながら働く経験をしたことで、自分の中で考え方が変わったことがいくつかあります。

一つは、「周りをしっかり頼る」ということです。以前の私は「頼る」ということがあまりいいことではないと思っていました。仕事復帰してからは、子育てと仕事を両立させるために、自分の状況をきちんと周囲に伝え、「仕事のことは職場の人に思い切って頼る」、「家庭のことは家族に思い切って頼る」ということ決めています。

もう一つは、子育て中の女性の働く環境を提供したいということ。仕事の相談に来られる方の中には「子育てしていると正社員にはなれないですよね。」と思われている方もいます。私自身も実際、子育てする前は企業の条件に合わないと、仕事の紹介は難しいと感じていたことも多かったです。でも、子育てを経験している今では、今は働き方に制限があるかもしれないけれど、子どもが成長すれば正社員になることだってできると考えています。今の自分の環境にとらわれず、少し先の未来を考えて行動することがとても重要だと感じています。

子育てしながら仕事復帰することは正直、大変なことも多いです。それでも、「働くこと」で得られることはたくさんあります。実際に仕事復帰するためには、仕事のこと、子どものこと、家族のこと、さまざまなことを考える必要があります。自分が一生懸命考え、悩んだことを家族や職場の方にもしっかり共有して、将来に向けて「あきらめないキャリア」を作っていくことが大切ではないでしょうか。

【働き方は、生き方だ】普通の私のキャリア形成
第17回自分のしたい仕事ってなんだろう?偶然から見つける新たな目標
第18回2022年10月からの社会保険の適用拡大!女性がこの先の働き方を考える重要な機会に
第19回:産休育休から仕事復帰4か月の私のホンネ!子育てしながら働くということ
第20回VUCA時代をどう過ごす?これからを生き抜くために必要な力と30代でやっておきたいこと
第21回仕事探しにも断捨離が有効?!理想のキャリアを実現するために
第22回働く意味と「ブランク」について ~今だけでなく未来にも目を向けて選択しよう
第23回とりあえずやってみよう!体験談から思う、お仕事探しで大切なエイヤー精神
第24回派遣の3年ルールと自分らしいキャリアを築くために今考えたい「リスキリング」
第25回アラフィフ女性の働き方とセカンドキャリア
第26回スティーブ・ジョブズの経験に学ぶ!派遣社員ならではのキャリア形成

【働き方は生き方だ】過去のシリーズ 
これから、もっと自分らしく生きるため「普通の私」も”キャリア”を考えてみよう
普通の私のキャリア形成 ~一歩踏み出そう~