先日の日経新聞に、「就職先に相談できる人、4割が「いない」 民間調査」という記事が掲載されていました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC218D80R20C22A4000000/
(出典:日経電子版)

今春の新入社員を対象に、入社直前の3月に実施した調査で、就職先に相談できる人がいるかどうかを尋ねたものです。相談相手が「いない」新入社員の方が、入社にあたっての不安を感じており、また就職先に対する理解度や納得度は低いという結果でした。

一方で、上司・先輩からは、「相談できる環境は提供している。最近の若い世代は相談するのが苦手な人が多いようだ」という声が聞こえてきそうです。

もしこの調査で、当社の新入社員が「いない」と回答していたなら、私もそのように感じたと思います。

「どう思われるか」が心配

新入社員に限らず、私もついつい上司に相談するタイミングを逃すことがあります。今は忙しそうだから後にしておこう、スケジュールされている会議が終わってから声をかけよう、今報告しても中途半端だから、資料をまとめてからにしよう、など。

ましてや新入社員はどうでしょう。

入社前は、相談窓口がわかっていても、自分からメールや電話のアクションを起こすには勇気がいるのではないでしょうか。

また入社後は、目上の人たちに囲まれ、何をするにも緊張の連続です。自分から上司・先輩に声をかけるのは、心理的な負担がとても大きいように思います。

以前のコラムでも、Z世代の価値観や特徴や「うまくやりたい」という心理についてご紹介しました。

この世代はとくに、相手からどのように見られるかを非常に気にする傾向にあります。「こんなことを聞いたらダメな社員だと思われるのではないか」「今話しかけると迷惑なのではないか」そういった不安感が大きく、周囲の先輩や上司に話しかけることを、躊躇するようです。

相談をしてもらうための具体的な声掛け

「何かあったらいつでも声かけて」は、よく使う言葉ではないでしょうか。

でも「何かあったら声かけて」「いつでも聞いてね」と伝えても、新入社員にとっては声をかけるハードルはとても高く、ついつい、もう少し自分で調べてから、もう少し頑張ってみてから、というふうにタイミングを先延ばしにしてしまいがちです。

声をかけてこないので問題がないのかと思っていたら、本当は困っていたり、業務が止まっていたり、人知れず悩んでいる可能性があります。

これを解消するためには、

  • 「毎朝、その日の予定を報告してね」
  • 「毎日夕方〇時に、結果を報告してね」
  • 「〇〇の仕事がここまでできたら声をかけてね」
  • 「5分考えてわからなかったら声をかけてね」

という風に、行動するべき状況とタイミングを具体的に提示しておくことが肝要です。新入社員が不安なく遠慮なく声をかけられるようなルール決めを、相互にしておくと良いのではないでしょうか。

相談する力を伸ばすには

上司側が、ついついやってしまいがちなこととして、忙しい時の対応が雑になるという点があげられます。じっくり話を聞いてあげることができず、時に、相談の要領が悪いと指摘してしまったりもします。

そうすると、恐らく新入社員は委縮してしまい、次の報告がしにくくなる。そして報告の遅れが発生したり、報告頻度が下がったりして、問題が大きくなる。負のループです。

まずは約束通りのタイミングで報告してきたことを褒めて承認することを意識してみるのはいかがでしょうか。それを繰り返すうちに、新入社員たちも自信をつけ、報連相(報告・連絡・相談)もスムーズになります。

コミュニケーションが円滑になることで、自ずと仕事上の知識や経験を積む機会が増え、成長にもつながるはずだと思っています。

新入社員の輝きを大切にしたい

思い起こせば20年以上前の新入社員時代、私は、トイレに行くのさえ躊躇ったことを今でも覚えています。学生時代は授業の間の休憩がありますが、会社では始業時間からお昼休みまでの間、明確な休憩時間がないため、仕事中に席を立っていいのかと真剣に悩んだのです。そんなことを誰かに聞くのも恥ずかしくて、しばらく我慢していました。

私たちが予想もしないようなことで、新入社員は悩んでいるかもしれません。

当社にもこの4月、新入社員が入社しました。オフィスに入ってくるだけで、部屋の照度が何ルクスも上がったように本気で感じるほど、ピカピカでキラキラです。

そんな彼ら彼女らの成長と活躍のために、私たちは何をして、どう関わればいいかを、日々考えています。

当社では新入社員のフォロー研修、管理職向けの研修なども取り扱っております。新入社員の育成などにお悩みの方は、こちらまでご相談ください。