10月に内定式を終え、来春の入社まで数か月という今の時期、みなさまの会社ではどのような内定者フォローを行っていますか?

昨年(2020年)は、コロナ禍で様々な活動がオンライン化され、内定者フォローについても従前の取り組み全般を、オンラインに切り替えて実施しました。結局、入社式まで対面で会うことのないままフォローを続けましたが、時間や費用をかけずに集まれるオンラインの利点を活かし、例年より頻繁に接点を持つことができ、かえって内定者との関係が深まったように感じました。

そんな手応えをもとに今年もオンライン主体のフォローを行っていますが、内定者は揃って「不安」だと言うのです…。

内定者フォローツールの活用

当社では、内定者フォローにあたり、内定式後から3月までの半年間、Webで学習できるツールを使っています。

毎月テーマが設定されており、初回である10月のテーマは、「働くことの意味」でした。

社会人の先輩たちからのメッセージ、スポーツ選手や芸能人など著名人のインタビュー、心構えやマナーなどの講義コンテンツなどを中心に、ビジネス用語の解説やオススメの本の情報なども掲載されています。

内定者はそれらのコンテンツを読んで確認テストを受けた後に、用意されたコミュニケーションペーパーに、就活の振り返りや今の気持ちを整理して記入します。人事担当者はそれに対してコメントを返します。

段階的に社会人になる準備をしていくための様々なコンテンツがあり、マインドセットをしていくためにも、コミュニケーションのきっかけとしても有用で、当社では何年も前から利用しています。

内定者が感じる不安の正体は?

10月分のコミュニケーションペーパーでは、「入社を待つ現在の心境は?」という問いに、ほぼ全員が「楽しみと不安」と書いていました。数値化して聞いたわけではありませんが、文面から読み取る限り、楽しみ6:不安4、といった感じです。

社会人として責任ある仕事をすること、人間関係、自身の能力など、不安なポイントは様々書かれていましたが、「うまくやれるか」というフレーズが複数出てきました。

私たちの立場からすると、新入社員に「うまく」やることなんて求めていないのですが、真面目な学生たちは、「うまく」を意識するのですね。

学生生活のままであれば、これまでの経験をベースに、うまくできる自分のイメージが持てるかもしれません。しかし社会人はこれまでの学生生活とは別世界だと切り離して考えるため、成長イメージが持てず不安になるようです。

だとしたら、不安を解消するためには、学生と社会人とを分断せずに、今の延長線上に社会人としての成長を位置づけてはどうか、そのためにも内定期間は絶好のタイミングなのではないかと、最近思いを巡らせています。

内定者フォローは社員教育の始まり

最近まで内定者フォローは、内定辞退の防止と、マナーや心構えなどの準備、内定者同士と社員との関係性構築が主な目的だと思っていました。フォローという言葉のとおり、どちらかというと内定者をお客さま扱いし、優しく丁寧にサポートするイメージです。

私たち採用担当者側もきっと、内定者の期間は学生として扱い、入社して初めて社会人として見る、そんな風に明確に線引きをしているのだと思います。

しかし、内定者としてのこの期間にこそ、入社後の成長イメージを共有できれば、内定者はそこに向かって歩みを進め、不安の解消につながるのではないか、そして同時に入社後早期に活躍できる人材として育成できる気がしています。

まずは内定者フォローを、社員教育の第一歩と位置付け、再構築していこうと考えています。

成長イメージの共有のために

前回のコラムでもご紹介したように、当社の採用活動では若手社員を多く起用しています。新入社員が入社した後も、若手が教育担当としてサポートします。

しかし、内定者フォローに関しては採用担当者が主な対応を行い、若手の出番は限定的。ここにも分断がありました。

若手社員は内定者にとっても身近でわかりやすい目標。〇年後に「うまくできている」先輩の姿はこうだよ、と見せながら、何の知識があり何ができる状態が正解なのか、そのために必要なマインドやスキルは何かを共通言語としていきたいところです。

当然、先輩社員にとってもプレッシャーとともに成長機会になりそうです。

入社までに準備すること

内定者に、「入社までにどんな準備(勉強)をしたらいいですか?」と聞かれると、これまでは「仕事のことは入社してからで大丈夫。時間がある今のうちに、旅行や遊びを思いっきり楽しんでおいで!」と返していました。

これはこれで本心です。でもこれでは言葉足らずで内定者たちの不安解消にはなっていなかったかもしれません。

単に「学生は時間がある」からではなく、様々な人と触れ合い共に過ごす時間が、社会人になってチームで働く上で役立つこと、旅行で視野を広げたりチャレンジする力を養い、仕事でも発揮してほしいことなど、将来の「うまくやる」につながることを、あわせて伝えていきたいと思います。

当社では、内定者向けの研修企画、フォローツールなども取り扱っています。

内定者フォローに悩みの方は、ぜひこちらまでお問合せください。