公開日 2026/05/21
更新日 2026/05/22

外国人材と会話が通じない原因とは? ―現場でできるコミュニケーション改善のポイント

コミュニケーション, 外国人材, 採用

目次

現場で働く外国人材に求められる日本語力とは

近年、多くの企業で外国人材の採用が進み、「現場で働く外国人と会話がうまく通じない」「どの程度の日本語力を求めればよいのか」と悩むご担当者の声をよく耳にします。特に技能実習生や特定技能外国人の受け入れにおいては、日々の業務を円滑に進めるうえで、コミュニケーションの難しさを感じる場面も多いのではないでしょうか。こうした中で、「どこまで理解できるのか」が見えにくいと感じるケースも少なくありません。

一般的に、技能実習生は来日前に数か月程度の日本語学習を経た初級レベル、特定技能人材は日本語能力試験N4相当の試験に合格した段階で来日します。企業としては、できるだけ日本語力の高い人材を求めたいと考えるのは自然なことですが、現場で働く外国人材に、最初から高い日本語運用力を期待するのは現実的とは言えません。

 

「採用時の日本語力」よりも「育成」が重要

こうした背景を踏まえると、企業にとって重要なのは「採用時点の日本語力」に過度な期待を寄せることではなく、「働きながら日本語力を伸ばしていく」という前提で受け入れることです。まずは必要最低限のコミュニケーションが取れる人材を採用し、その後の教育や日々の業務を通じて理解を深めていく。この考え方が、現場に無理なく外国人材を定着させるポイントになります。

最近では、地方自治体が日本語教育支援のための補助金制度を設けているケースも増えており、これらを活用することで企業の負担を抑えながら人材育成を進めることも可能です。

また、賃金面での競争が難しい地方企業にとっては、日本語教育やキャリア支援、職場でのコミュニケーションのしやすさが、定着率を高める重要な要素になります。「ここで働き続けたい」と思ってもらえる環境づくりが、結果的に人材確保・定着につながっていきます。

 

N4レベルと現場で起きる「伝わらない」理由

では、実際に多くの現場で見られるN4レベルとはどの程度の力なのでしょうか。

N4は「基本的な日本語を理解できる」レベルで、ゆっくりとした日常会話であれば大まかな内容を把握することができます。ただし、このレベルはあくまで日常生活を前提としたものであり、職場で使われる専門用語や独特の言い回し、曖昧な表現までカバーしているわけではありません。

たとえば、「前と同じようにやっておいて」「いい感じに仕上げておいて」といった表現は、日本人同士では自然に通じますが、外国人にとっては判断が難しい言葉です。また、「なるべく早く」「後で確認します」といった幅のある言い方も、解釈に迷いが生じやすいポイントです。

さらに、地域によっては方言が使われることもあり、教科書にはない日本語が理解のハードルを上げているケースもあります。こうした背景から、「指示が伝わらない」という状況は、日本語力そのものだけでなく、「どのように伝えているか」にも大きく影響されていると言えます。

 

よくあるケース:こんな場面でつまずきやすい 

やさしい日本語が職場を変える

現場では、「伝わらないのは日本語力が足りないから」と捉えてしまうことも少なくありません。しかし実際には、伝え方によって改善できるケースも多く見られます。

たとえば、曖昧な表現のまま指示を出してしまう、一度伝えただけで理解した前提になっている、といったことが積み重なることで、認識のズレが生じている可能性があります。日本語力だけでなく、「伝え方」にも目を向けることが重要です。

そのため、「伝わらない」と感じたときには、日本人側の伝え方を見直すことが重要です。たとえば、「いい感じに」ではなく「この写真と同じように」、「なるべく早く」ではなく「今日の15時までに」と具体的に伝えることで、理解度は大きく向上します。いわゆる「やさしい日本語」を意識することが、円滑なコミュニケーションの第一歩となります。

実際に、「掃除しておいて」という指示に対して、自分の持ち場だけをきれいにすればよいと理解してしまい、指示した側との認識にズレが生じたというケースもあります。このような小さな行き違いが積み重なると、双方にストレスが生まれ、職場環境にも影響を及ぼします。一方で、こうした行き違いを防ぐことが、現場の負担軽減にもつながります。

 

現場で見直したいコミュニケーションのポイント

日々のやり取りの中で、次のような点を意識することで、伝わり方は大きく変わります。

・指示は「いつまでに・何を・どの状態まで」と具体的に伝える
・「いい感じ」「適当に」など曖昧な表現を避ける
・一度だけでなく、理解できているか確認する
・写真や実物を使って説明する
・日本人側も「やさしい日本語」を意識する

当社では、外国人材向けの日本語講座に加え、日本人社員向けの「やさしい日本語」セミナーを実施しています。外国人材の日本語力向上と同時に、受け入れる側の伝え方を整えることで、コミュニケーションの質は大きく変わります。

日本語力を「ある・ない」で判断するのではなく、「どうすれば伝わるか」という視点を持つことが、外国人材の定着と活躍、そして働きやすい職場づくりにつながっていくのではないでしょうか。

 

オンラインセミナー実施レポート:参加者の声

5月14日に、「職場で使えるやさしい日本語」をテーマとしたオンラインセミナーを実施しました。当日は、現場で外国人材の指導にあたる方を中心にご参加いただきました。

アンケートでは、「具体的な言い換えが参考になった」「短く・シンプルに伝えることの大切さを実感した」といった声が多く寄せられ、日々の業務の中ですぐに活用できる内容として評価をいただきました。

また、「日本語力だけでなく、日本人側の伝え方も重要だと感じた」「現場ですぐに活用できそう」といった声も多く、コミュニケーションの課題を“伝え方”の視点で見直すきっかけとなった様子がうかがえます。

 

【参加者の声(一部抜粋)】

・一度の会話で複数の工程を伝えるのではなく、短く分けて説明することが理解してもらうコツだと感じた
・和製英語や方言が、気づかないうちに伝わりにくさの原因になっていると感じた
・外国人材とのコミュニケーションへの不安が少し軽減した
・短く・シンプルに伝えることの重要性を改めて実感した

 

【当日のオンラインセミナーの様子】

 

外国人材とのコミュニケーションにおいては、日本語力だけでなく、伝え方を見直すことが重要です。今回のセミナーが、現場でのコミュニケーション改善の一助となれば幸いです。

自社の現場でも同様の取り組みをご検討されたい場合は、お気軽にご相談ください。

 

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この記事を書いた人

猪熊 三穂

クリエアナブキ 海外人材紹介担当

行政書士。『入門・やさしい日本語』認定講師 外国人の日本語教育に携わるなど外国人支援をライフワークと捉え取り組んでいる。 【主な資格】 日本語教師養成講座(文化庁420時間対応)修了 キャリアコンサルタント・産業カウンセラー・ファイナンシャルプランナー