先日、「Z世代」をテーマにした社内勉強会を行いました。昨年(2021年)の新語・流行語や日経ヒット商品番付なども賑わせた「Z世代」。今、新卒採用の現場における対象の学生は、まさにZ世代です。

Z世代とは

定義

アメリカ生まれの考え方で、1990年代半ばから2010年頃にかけて生まれた人のことを指しています(何年産まれという定義については諸説あるようです)。

少子高齢化が進む日本では、この世代の人口は多くありませんが、全世界で見ると、なんと約1/3がZ世代であり、その影響力は非常に大きく、注目が集まっています。

特徴や価値観

物心ついたときからインターネットが身近に存在し、幼少期からスマートフォンやタブレットを当たり前に使っている世代です。まさにデジタルネイティブ、スマホネイティブ。

さまざまな情報に触れているため、多様性を当然に受け入れ、社会問題などにも非常に敏感です。SNSなどでは、直接会ったことのない人とも自由につながり、自分の趣味趣向、考えなどを気軽に発信、そして共感しあっています。

自己の存在を認めてもらうことに喜びを感じる、承認欲求が非常に高いことも特徴です。

仕事・キャリアの面においては、ワークライフバランス・安定・成長を重視すると言われています。

採用活動の現場で起きていることと、取り組むべきこと

社内勉強会では、実際に採用現場で直面した事例や、取引先企業からお聞きするZ世代の採用に関するお悩みなどを取り上げて共有しました。

その一部をご紹介しながら、企業が取り組むべきことを考えてみたいと思います。

フィードバックにもひと工夫を

成長意欲、承認欲求の高いZ世代は、フィードバックを求めます。

少し前までフィードバックというと、先にマイナスなことを言って、後から褒めて終わるという流れが定石でしたが、Z世代にはそれは効果がありません。うまくできないことを、こちらの言葉で一方的に指摘するだけでは、「自分のことを認めてもらえない」「みんなの前で恥をかかされた」と感じ、心を閉ざしてしまうようです。

うまくできるようになりたいと思っている気持ちを尊重し、まずは先に褒めて、「あなたのことを見ている、良さを認めている」という気持ちを伝えることが大切です。そして、もっと良くなるためアドバイスとして指摘事項を優しく伝える、という順番が大切です。

「きれいごと」は通用しない

採用において会社側から発信する情報は、基本的には綿密に準備された「良い面」や「理想像」が中心になりがちではないでしょうか。決して嘘を発信することはありませんが、場合によっては無意識のうちに盛っているかもしれません。

ただ、そういった「きれいごと」は、たくさんの情報を収集し事実を見抜く力があるZ世代には通用せず、上辺だけだとわかると、かえって印象が悪くなってしまいます。

会社から発信する情報を信じていないという訳ではなく、そこだけでは見えない本当の姿を探ろうとするので、具体的な取り組み内容や成果などをしっかりと説明しながら発信することが大切です。サスティナビリティやダイバーシティなどに敏感なZ世代に向け、発信内容自体を再考してみることも必要そうです。

Z世代にとっての当たり前のツールを使う

デジタルリテラシーの高いZ世代に情報を届けるためには、使うツールも重要です。

SNS

目的別にいくつものアカウントを使い分けるZ世代は、就職活動においてもSNSでの情報収集が基本です。上辺の情報よりも実態を知りたいと思っているので、できれば人事からの発信だけでなく、現場で働く若手社員の生の声や、リアルな雰囲気を伝えていくことが好まれます。また、複数のツールを使いこなすので、オープンに発信する内容はInstagramやTwitterを使って拡散し、個別の連絡はLINEを使うなど、Z世代のスタイルに合わせるとスムーズです。

当社でも実際、ナビサイトからメールを送っても既読にすらならず、LINEで連絡するとすぐにレスポンスがある、ということもしばしば。採用担当からすると、ナビサイトでのやりとりにすべて集約できる方が効率的ですが、Z世代にとっての利便性にも配慮したいところです。

動画

Z世代は、情報収集にも暇つぶしにも、好んで動画を視聴しており、TikTok、YouTube、Instagramリールなどの利用が定着しています。

会社説明会にわざわざ足を運んだり、オンライン説明会で長時間拘束されたりするより、好きな時間に動画で視聴できる方が好まれるのです。

当社も昨年から、会社説明会は動画に切り替えましたが、伝えたいことを盛り込むと、どうしても長時間の動画になっていまいます。ショート動画を好むZ世代には敬遠されているかなというのが最近の悩みです。きっと、現在YouTubeに公開している動画も、倍速で見られているのかなぁと思います。

活かされ活きる仲間として

いかがでしたでしょうか?

ここまでZ世代について考えてきましたが、彼らは「個」が尊重されることを望み、「男性・女性だから」「学生だから」とひとくくりにされることは敬遠します。恐らく、Z世代でくくることも、多様性にそぐわず、嫌われてしまいそうです。

大切なのは、ひとりひとりの個性にしっかりと向き合うことであり、それは世代に関係なく重要なことだと思います。また、Z世代の特徴や価値観を理解することが、上の世代が築いてきた会社の風土や制度を見直し、ダイバーシティ&インクルージョンを実現していく鍵になるかもしれません。世代を問わず、活かされ活きる仲間として、共に成長していきたいですね。

当社では、採用活動に関するお悩みの相談や、若手社員向けの研修、Z世代を育成する上司向けの研修などのご相談も承っております。お悩みや困りごとは、こちらよりお問い合わせください。