「今どき、正社員にこだわる必要はない」

このような意見をWeb記事などで見ることが増えました。

実際に2022年度における厚生労働省の調査(「非正規雇用」の現状と課題 )では、全体の就労人数における非正規雇用の割合は36.9%と大体3人に1人は正社員ではない働き方を選択しています。

ニュースで大企業のリストラが報じられ、最近では「リスキリング(学び直し)」「労働市場の流動化」などの政策からも、企業側目線でも正社員雇用が厳しく転職や起業前提のキャリアを考えなければならないような印象をうけます。

 本当に今どき、正社員にこだわる必要はないのでしょうか?

正社員にこだわらなくてもいい人の特徴

私の考えでは、本当にやりたいことがある人、稼ぐ力がある人は、正社員にこだわる必要がないです。

ベトナムのダナンに住んでいると、独立してビジネスをしている人にたくさん出会います。
そういった方々のご活躍を見ていていると、ビジネスそのものが楽しくて仕方ないという印象を持ちます。好きなことを仕事にしているというよりは、あれこれ仕掛けて、失敗も糧にしながら成功までの過程を楽しんでいるように見えます。

またPC一つで仕事をしているデジタルノマドもたくさんいます。
英語が母国語の人がオンラインで英語を教えている場面はよく見ます。また、建築やIT分野のフリーランスのエンジニアの方も多いです。

このような人々はわざわざ正社員にならずに、自分のやりたいことや、柔軟なライフスタイルを追求したほうが豊かに生きれそうですね。

あとはまとまった資産を持っている人、パートナーにそれなりの収入がある人なんかも正社員にこだわる必要は当然ないと思います。

正社員で働くことのメリット

一方で多くの人は、自分の安定した生活をリスクにさらしてまでやりたい事もなければ、一人で稼げるスキルもないのではないでしょうか?

その場合、雇われて働くという選択肢に自然と落ち着きます。
雇われる=誰かが考えたビジネスモデルに乗っかり、その一部分の役割を担うことで対価として給料を得るということだと考えています。

雇われる場合、非正規雇用よりも正社員の条件がいいことが多いです。
基本的に社会の仕組みや企業側の制度設計、現在の意思決定層のマインドが正社員を前提にしているからです。
*もちろん待遇の悪い会社の正社員と待遇のよい企業の契約社員なら後者のほうがいいことも多いです。

具体的には、 

①    非正規雇用は雇用の調整弁として使われがち
日本の労働法令では正社員を解雇することは極めて難しいです。そのしわ寄せは非正規雇用にいきがちです。本当にずっと働いてほしいと企業が考えていたら、正社員に切り替えるはずです。

②    長く働くほど増える退職金・厚生年金の掛け金・給与
まだまだ勤続年数が長いほど、給与も退職金も支給額が多くなるケースが多いです。「勤続〇年以下は〇〇%の支給しかしない」というような退職金制度もまだ一般的です。もはや一度手を染めたら抜け出せない、ある種麻薬のような作用があります。

③    多くの意思決定者は正社員前提の社会で生きてきた
私自身たまに転職活動するので実体験として感じるのですが、転職回数や、非正規雇用でのキャリアが評価されづらいです。あとは年齢を重ねるごとに上がるハードルの高さもあまり変わっていないように感じます。

例外もたくさんあるのですが、現状は強い想いをもってやりたいことがない人、個人あるいは会社を移っても稼げるようなスキルを習得するための努力を嫌う人は、それなりにきちんとした会社の正社員として働くことで、安定した生活が送れる可能性が高く、人生の幸福度が高まりそうです。

企業は正社員にこだわらない人材活用を

逆に企業側は正社員にこだわる必要は全然ないと思います。
稼げる力のある優秀な人ほど正社員である必要がなくなります。本当に経営者マインドがある人は独立します。

そういった外部の人材に自社の仕事を部分的に手伝ってもらうような取り組みがより重要になりそうです。IT業界などは比較的新しい業界なので、一つのプロジェクトを所属の異なる複数の関係者で進めるようなことも一般的です。

正社員に求めるべきことは、言われたことを忠実に一所懸命やることでしょうか。

 

少しだけ今回の内容に関係しているのですが、雇用代行サービス@ベトナムのWebサイトを作成しました。ぜひ一度お目通しください!

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