以前、障がい者の採用活動準備について紹介しました(「障がい者雇用を始める!採用活動の準備をしよう」)。
今回は、以下2つの段階について、より詳しくポイントや注意点を紹介させていただきます。

  1. 採用計画を立てる
  2. 募集する

1.採用計画を立てる

障がい者雇用の基本制度として、障がい者雇用率制度、障がい者雇用給付金制度、それに基づく助成金の支給などを知っておくとよいでしょう。

民間企業の法定雇用率は2021年3月より2.3%に引き上げられました。まずは自社で「障がい者を何名雇用する必要があるのか」を正確に把握し採用計画を立てていきましょう。

障がい者雇用の必要人数は社員数で決まりますが、対象となる人は障がい者手帳の有無で決まります。

障がいを持つ人も、障がいがあることを申告せずに雇用された場合には、障がい者雇用ではなく一般雇用となります。

障がい者雇用の条件を満たすには、以下のような障がいを持つ人を、あらかじめ障がい者であると知った上で雇用することが必要です。

障がいの種類と特性を把握する

障がいについて、あらかじめどのような特性があるのか知った上で雇用することが望ましいでしょう。具体的な障がい特性や配慮事項は、人それぞれ違うことを理解することも大切です。

  • 身体障がい者
    身体機能の一部に障がいを持っている人です。

    種類は多く、音声・言語機能障がい、聴覚障がい、視覚障がい、肢体不自由、内臓機能などの疾患による内部障がいがあります。

    雇用の対象となるのは、身体障がい者障がい程度等級の1〜6級を持つ人、または7級以上の障がいを2つ以上持つ人です。

  • 知的障がい者
    知的障がいは、知的機能障がいにより知的能力や社会生活への適応能力が低いことで、日常生活に困難が生じている状態のことを言います。

  • 精神障がい者
    統合失調症やうつ病、てんかんなどがある人、過去に精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けている人が対象です。

果たしてどんな業務を任せたら良いのだろうか、と悩む企業も多いと思います。

まずは再度、職務の見直しを行うことからはじめ、できることは何かという視点で考えてみると良いのではないでしょうか。

外部委託の業務も含め、社内の業務を洗い出して整理してみると、障がい者が活躍できる場が見つかったという声も多くあります。

また、障がい者雇用の経験がなく不安を感じる場合には、ジョブコーチによる雇用支援や、トライアル雇用の制度を活用するという方法もあります。

さまざまな機関と連携をとり制度を使うことによって、企業にとっても障がい者にとってもよりよい職場を生み出すことができます。

施設や設備などの改善や、障がい者の支援態勢

身体障がい者が利用するトイレや廊下、通路などを拡張したり、手すりや誘導板、誘導ブロックを設置するなど、設備や施設のバリアフリー化の改修費用は頭の痛い問題です。しかしこのような改修費・設備費は、公的助成金制度を利用できる場合もあります。

また知的・精神障がい者の場合、自力で継続的に業務を行うことが難しいケースが多いため、あらかじめどのような業務を行ってもらうか、また業務内外の支援を誰がどのように実施するか、決めておく必要があります。

雇用形態の検討

実際に障がい者を雇用している割合である「実雇用率」にカウントするためには、障がい者を常用雇用していることが条件になります。

対象は、雇用期間の定めがない正社員などの労働者のほか、1年以上の雇用が見込まれる雇用期間に定めがある契約社員や嘱託社員などです。

週の所定労働時間が30時間以上の場合は1名、20時間以上30時間未満の場合は0.5名の雇用としてカウントします。

2.募集する

障がい者の募集方法としては主に、ハローワークによる職業紹介サービス、特別支援学校への求人票提出、民間職業紹介事業者の利用、障がい者を対象とした合同面接会での募集などがあります。

それぞれの募集方法の特徴やメリットは次の通りです。

  • ハローワークによる職業紹介サービス
    専門の職業相談・職業紹介窓口があり、就職を希望している障がい者を、専門の職員が企業に紹介してくれる。

  • 特別支援学校への求人票提出
    就職を希望している特別支援学校の生徒に向けて、求人情報を提供している。

  • 支援機関からの情報
    地域障がい者職業センターや、障がい者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所等の福祉機関、障がい者職業能力開発校や特別支援学校になど、各支援機関とうまく連携することでスムーズな受け入れが可能になる。

  • 障がい者を対象とした合同面接会での募集
    民間職業紹介業者などが主催する合同面接会で、就職を希望する障がい者に対して求人情報を提供してくれる。

就職活動を行っている障がい者は、「専門知識やスキルがある、または業務の経験がある」「専門知識やスキルを持たないが力を発揮できる分野がある」「環境整備などの配慮により、力を発揮できる可能性がある」など様々です。

募集活動にあたっては、障がい種別や専門知識等だけにとらわれず、”多様な人材を活用していく”という視点で行うことが重要です。

今回は、これから障がい者雇用に取り組もうとされている事業主や、採用担当者の方に向けての準備や注意点などについて改めて紹介させていただきました。

クリエアナブキでは障がい者雇用にお悩みの事業主や採用担当者の方からのご相談も受け付けております。

お困りごとがございましたら、こちらからお気軽にご相談ください。