しごと
2020/03/12
ドイツと日本で何が違う?ドイツで17年間働いた人に聞いた”しごとの仕方”の違いと”生産性”
しごと
目次
先日、ある方から、「日本人ってどうしてこんなに真面目に仕事をしているのに、生産性は低いのですかね?」と疑問を投げかけられたことがあります。
確かに日本は先進国の中でも生産性が低いことが昨今ささやかれており、「OECD加盟36カ国の中では21位にあたり、米国を始めとするG7各国の中では最下位となっている」という結果も出ています。
時間当たりの労働生産性がOECD加盟諸国の平均以下で、主要先進7ヵ国の中でもずーっと最下位の日本。「これではだめだ。生産性を上げよう!」と、国や会社の掛け声はよく聞こえてくるものの、「だから…しよう」「○○を見直してやり方を変えた」という具体的な声はあまり聞こえてきません。掛け声だけで生産性を上げようとしているのえあれば、そもそもそこに生産性があがらない理由があるように思えます。
とはいえ、待っているだけでは現実は変わりません。そこで、労働生産性が8位のドイツで長年仕事をしてきた方に、日本とドイツ、仕事への取り組み方に違いがないか、日常的な例を聞いてみました。
日本とドイツ、生産性の違いはどこから?
ビジネスメールの違い
例えば…、A社からB社に発注依頼をかけ、B社の担当が「じゃあその内容で作業に入りましょう」となったとき
日本の場合
「xxx社 ○○部 部長 △△様」から始まり、「いつもお世話になっております」「先日は……で、……ありがとうございました」「その業務の件でございますが、…」と前置きが延々と続き、最終的に「承りました」「よろしくお願いします」とメールする。
ドイツの場合
短く「OK」とメールをする。
恐らく上記のドイツでのメールを書く担当者が使用した時間は1分足らずです。もちろん、大事な業務だと勝手にOKはできませんが、大体ほとんどのメールがこのように簡単に終わってしまいます。
対して日本は、ビジネスマナーを重要視する印象があり、気を遣いながらのメールは5~10分は費やさないと書き上げられないのではないでしょうか。内容によっては宛先の並び順まで気を使い、上司に確認をしてもらって最終的にGoサインが出てから送付、なんてことも。
もちろん、日本で固有文化を育んできた私たちが日本で仕事をするなかで、いきなり簡易的なメールを送付するのは難しいことだとは思います。ビジネスマナーにとらわれない内容本位なメールを送付することで先方からクレームが入る可能性もあるでしょう。
とはいえ、ここに生産性が違う原因が少し見えてきませんか。
会議のお茶出しの違い
ほかの例として、会議でのお茶出しも大きな違いがありました。
日本の場合
会議に参加しない人(事務職の女性など)がお茶を用意し、名刺交換が終わったタイミングを見計らって会議室へ運び、上座から一つ一つ中身の入ったカップを提供する。
お客さまに失礼がないよう礼儀作法に気を配り、かなり丁寧な対応です。
ドイツの場合
会議を開催する人が、事前にペットボトルやグラス、コーヒーセットなどをテーブルに用意。
参加者はそこから自由に飲み物をとる。
ドイツでは、会議のホスト側がサービスして当たり前という考えがなく、上座も下座もさほど気にしないそうです。
基本的には、会議を開催する人自身で準備をし、お客様も自分の飲みたいものを自分でとる。そのため、会議に参加する人以外の手間を取らせることがなく、お茶出しのタイミングを調整する余計な時間も発生しません。(もちろん、ドイツでも規模の大きい会議に関しては、秘書的な方が事前に準備をすることもあるそうですが、その場合も事前のセッティングのみで、個別にサーブすることはないとのこと。)
いかがでしょうか。
仕事においての”マナー”と”成果”
ドイツでの仕事の仕方を聞いて思うのは、礼儀作法やビジネスマナーに注力しすぎて本来の仕事の目的が疎かになってしまっては、本末転倒ということです。”ビジネスマナー”というキーワードをネット検索すると、無数のマナーが存在していますよね…。
日本人の感覚上「真面目に仕事をする」ということについて、慣習として礼儀作法をわきまえることに重きをおき、結局、本質となる「仕事の内容、仕事はいつ仕上がるのか、結果はどうなるのか」が後回しになっているのでは?と感じるタイミングがいくつもあるとも聞きました。
このような日常のシーンを切り取ってみると、実際自分たちが働くレベルに置いて、改善の余地(無駄)がどれくらいあるか、客観的に考えやすくなりそうです。みなさまも一度見直してみてはいかがでしょうか。
寛容な気持ちでお仕事を
もうひとつ感じるのは、まずは身近なところで周りの人に対して寛容な気持ちで仕事を進める、また他人に過大な期待をかけず広い心で仕事をする、ということです。
マナーと仕事の内容や結果を分けて評価をしたり、同僚にも簡潔に業務をやり取りするよう理解を働きかけるなど、まず自分たちが日々仕事をしている身近な場でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
一日数分でも無駄が減れば、生産性向上に一歩近づくと思います。お試しください。