Visio 2013 の [組織図ウィザード] を使って、こんな感じの組織図を Visio で作ってみようと思います。
Visio 2013 使って書きますが 2007 や 2010 でもほぼ同等の方法で作図できます。

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Visio では、組織図用のテンプレートを使って、専用の図形をドラッグ アンド ドロップで配置して、組織図を作成できます。
ただ、Visio でも、PowerPoint (SmartArt グラフィック) でも、図を配置しながら文字を入力するのは意外と面倒なので、たいてい私は、入力のしやすい Excel で組織の階層を作って、それを Visio に取り込んで組織図を作っています。

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Step1  入力しやすい Excel で階層を入力する

Excel で組織図の "データ" を一覧表の形式で用意します。

組織図ウィザードを使って Visio で組織図を作るとき、[名前] と [報告先] となる 2 つの情報が必要です。

下図 A では、[名前] 列のセルに、階層がわかりやすいように色とインデントを設定してありますが、図 B のようにフラットに入力して OK です。イメージとしては、下図 A の色の濃いところから入力し、間に下位レベルを追加しながらリストを作ったと思ってください。

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リストの [上位] 列は、組織図で上に位置する図形はなにか、を書いてある列です。これが [報告先] に相当しますので、もちろん [報告先] という列名でもかまいません。

 

「社長」は最上位なので [上位] のセルはブランクで、「営業本部」「管理本部」「開発部」は [上位] が 「社長」です。

図になったときのイメージはこんな感じです。

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今回は、この Excel ファイルに「組織体制.xlsx」という名前をつけて保存してあります。


Step2  [組織図ウィザード] テンプレートを使う

  1. Visio 2013 を起動し、[カテゴリ] をクリックして、[ビジネス] をクリックします。

    [お勧めのテンプレート] に [組織図ウィザード] テンプレートが表示されていれば、こちらを使っても OK です。

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  2. [組織図ウィザード] をクリックし、表示される小さなウィンドウで [作成] をクリックします。

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  3. 新しい図面が開き、[組織図ウィザード] が起動します。

    [組織図ウィザード] の [組織図の作成方法を選択してください] で [ファイルまたはデータベースにすでに保存されている情報を使用する] をオンにして、[次へ] をクリックします。07.png
     

  4. [組織情報の保存先] で [テキスト、Org Plus (*.txt)、Excel ファイル] を選択して [次へ] をクリックします。
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  5. [参照] をクリックして、インポートするデータが含まれる Excel ブック (前の手順でお見せした組織体制.xlsx のように、準備してあるファイル) を選択して [開く] をクリックします。

    ファイルの指定ができたら、[次へ] をクリックします。09.png

     
  6. [データ内で組織を定義する情報を含む列 (フィールド) を選択してください。] で [名前] にはデータをほかのデータと識別する項目を、[報告先] には組織図で上位となる項目を指定します。

    ここでは、[名前] に [名前] を、[報告先] に [上位] を選択して [次へ] をクリックします。10.png
     

  7. [表示する列 (フィールド) をデータ ファイルから選択してください。] で、[表示テキスト] (右の一覧) に図形上に表示する項目を指定します。

    ここでは、図形には [名前] だけを表示するように指定します。11.png

    図形上のこれ↓です。
    (必要ないけど) [上位] というフィールドも [表示テキスト] の一覧に含めれば、各図形の中に表示されます。12.png
     

  8. [組織図の図形に図形データ フィールドとして追加する列 (フィールド) をデータ ファイルから選択してください。] で、[図形データ フィールド] (右の一覧) に、図形データとして管理したい項目を指定します。

    ここでは、図形には [名前] と [上位] を指定しました。13.png

    図形データ フィールドはこれ↓です。
    [役職] は自動的に用意されます。

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  9. Visio 2013 から、組織図の作成時に写真をインポートして、一括で設定できるようになりました。
    そのため、下図の手順が含まれますが、Visio 2010 や Visio 2007 にはありません。

    組織図で写真を使用しない場合は [組織図に画像を含めない] を選択して [次へ] をクリックします。15.png
     

  10. データの数 (組織図に含める図形の数) が多いときなどに、複数ページに分けて組織図を作成できます。

    どこで分けるのかを、手動で指定するのではなく、自動的にページを分割したい場合は [自動的に複数ページに分割する] をオンにして [完了] をクリックします。16.png
     

  11. Excel ブックのデータを取り込んで、Visio で組織図が作成されます。

    リボンには [組織図] タブが表示されていて、[図形] ウィンドウには [切り込み - 組織図の図形] ステンシルが表示されています。

    "切り込み" というのは、組織図の図形の形の種類で、ほかにも "コイン" とか "パネル" など、図形の形の違うステンシルもあります。また、リボンの [組織図] タブの [図形] ギャラリーで図面上の図形の種類を変更することもできます。17.png

Step3  レイアウトを整える

組織図全体のレイアウトはもちろんですが、選択した部分 (部署) だけ、下位の図形のぶら下がり方を変更したい、なんていうことができます。たとえば、今回は、既定のままだと、[営業本部] の下位の図形が縦に長く並んでいるので、[水平] に変更します。
 

  1. 変更したい部署の上位レベルの図形を選択し、リボンの [組織図] タブの [レイアウト] グループの [レイアウト] をクリックし、種類をクリックします。

    「管理本部」に重なってしまってわかりにくいのですが、「第一営業部」と「第二営業部」が水平に変わったことが分かると思います。18.png
     

  2. 「管理本部」のレイアウトも水平になるように変更します。

    変更したい部署の上位レベルの図形を選択し、リボンの [組織図] タブの [レイアウト] グループの [レイアウト] をクリックし、種類をクリックします。

    ごちゃごちゃと重なってしまってわかりにくいのですが、水平に変わっています。19.png
     
  3. 組織図の図形の重なりを解除するために、再レイアウトの機能を使います。

    リボンの [組織図] タブの [レイアウト] グループの [再レイアウト] をクリックします。20.png
     

  4. 図形が再配置されて、重なりがなくなります。

    あとは、好みですが、下図では、[第一営業部] と [第二営業部] を選択して、レイアウトの垂直の方向と種類を変更しています。

    2 つの図形を同時に選択するには、1 つ目の図形の選択後、[Ctrl] キーを押しながら 2 つ目の図形をクリックして選択してください。21.png
     

  5. 組織図全体の幅を 1 ページに収まるようにレイアウトしたい場合は、リボンの [組織図] タブの [レイアウト] グループの [ページ幅に自動調整する] をクリックします。22.png

Step4  図形を追加する

Excel には含まれていなかった図形 (部門など) が必要であれば、追加します。

ここでは、「社長」の下に補佐役のシェイプを使って、「経営企画室」を追加します。
 

  1. [図形] ウィンドウの [切り込み - 組織図の図形] ステンシルで、[補佐役 (切り込み)] を選択し、上位となる「社長」の図形の上に重なるようにドラッグ アンド ドロップします。23.png
     

  2. 図形が追加されます。24.png
     

  3. 追加した図形の [名前] フィールドに名前を登録して、図形に表示されるようにします。

    図形を右クリックして、[図形データ] をクリックし、図形データ ウィンドウの [名前] に「経営企画室」と入力します。
    ここでは、[上位] フィールドに「社長」も入力しました。25.png
     
  4. 図形に「経営企画室」という名前が表示されます。

Step5  写真を削除(非表示)にする

既定の図形には、写真を表示する領域が確保されています。
写真が不要な場合は写真を削除します。
 

  1. [Ctrl] キー + [A] キーを押して、すべての図形を選択し、リボンの [組織図] タブの [図] グループの [削除] をクリックします。26.png
     

  2. すべての図形の写真が削除されます。27.png

Step6  テーマ(色)や職種を変更する

テーマを変更すると、図面全体で利用する色の組み合わせなどが変更され、職種 (使用している図形の種類) によって、異なる色で表示されます。
 

  1. テーマを変更するには、リボンの [デザイン] タブの [テーマ] ギャラリーで適用するテーマをクリックします。28.png
     

  2. テーマが変更されます。

    既定のテーマよりも、職種 (図形の種類) による違いがはっきりと色分けされていることがわかります。

    今回は、Excel ブックに「どのマスター シェイプを使うのか」を記述していなかったため、Visio が自動的に職種を判断し、適切と思われる図形が配置されています。

    そのため、「営業本部」や「管理本部」と同じ「管理職」という職種であるはずの「開発部」が、「担当職」という職種と認識され、違う色で表示されていることがわかります。29.png
     

  3. 職種を変更すると自動的に、職種に応じた図形に変更されます。または、図形の種類を変更すると、それに合わせて (内部的に持っている) 職種が変更されます。

    図形の色や見た目で、変更後の図形の種類を探したいのであれば、[図形の変更] を使ったほうがわかりやすいです。

    変更する図形を右クリックし、ミニ ツールバーの [図形の変更] をクリックして、変更後の図形の種類をクリックします。30.png
     

  4. 図形の職種が変更され、図形の色も変わります。31.png
     

  5. そのほかにも、適切な職種 (図形) に変更したい図形がある場合は、同じように変更します。32.png
     

  6. 職種に応じた書式にするのではなく、個別に図形の色 (スタイル) を変更したい場合は、図形を右クリックし、ミニ ツールバーの [スタイル] をクリックして、変更後のスタイルをクリックします。

    下図では、「営業本部」「管理本部」「開発部」を濃い緑色のスタイルに変更しています。33.png
     

  7. その他の図形も適宜スタイルを変更します。34.png
     

  8. すべての図形を選択して、フォントの種類やサイズを変更したり、図形と図形の縦の間隔を広げて整えたのが下図です。

    図形を下のほうにドラッグして縦の間隔を広げてみました。図形を移動してもコネクタ (関連線) は切れることがありません。35.png

Step7  PowerPoint のスライドにコピーする

Visio で作成した組織図を PowerPoint のスライドや Word のドキュメントにコピーして、図として利用できます。
 

  1. 図面ページ上をクリックして (どの図形も選択していない状態で)、リボンの [ホーム] タブの [クリップボード] グループの [コピー] をクリックします。36.png
     

  2. PowerPoint に切り替えて、貼り付け先とするスライドを選択し、リボンの [ホーム] タブの [クリップボード] グループの [貼り付け] をクリックします。

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  3. 組織図が図として貼り付けられます。38.png


  4. 貼り付けるときに、[形式を選択して貼り付け] で [Microsoft Visio 図面 オブジェクト] として貼り付けると、スライド上で部分的に Visio の機能を起動して図面としての編集ができるように、貼り付けることもできます。39.png

 


組織図は、頻繁に作るものではないので、ある程度時間をかけてもよいのかもしれませんが、「組織図を作るための機能」を使わないと、かなり時間がかかってしまいます。

PowerPoint などで、SmartArt グラフィックを使って作るのもありだと思いますが、図形にデータを持たせることができるのは Visio だけです。2 つの組織図を比較したり、組織図の一部を別のページに抜き出して同期する、なんてことができるのも Visio ならではです。

それぞれの違いやメリットを知って、使い分けたり組み合わせたりできると、Office の価値はもっと上がると思います。

写真を使った組織図の作り方はこちらでご紹介していますのでどうぞ。


石田 かのこ