最終的には、PowerPoint のスライド上に描く、テキスト ボックスや図形の文字の種類を決めておくにはどうしたらよいのか?を書きたいのですが、そこにいきつくために、前半はテーマのフォントの話をします。

[テーマのフォント] と [すべてのフォント] の違い

PowerPoint に限った話ではないけれど、MS 明朝だとか、メイリオだとか、フォント (文字) の種類を選ぶときに使う一覧には、[テーマのフォント] と [すべてのフォント] が表示されています。

[テーマのフォント] は、「ドキュメントのデザインを定義するテーマの中で設定されているフォントの種類で、ファイルに適用しているテーマを変更すると、ドキュメント内のこのフォントを使っている文字の種類も変更されるフォントです」を省略しているといえます。(長い)

[すべてのフォント] は、「テーマを変更しても影響を受けさせたくない (変更されたくない) ならここから選びなさい」というフォントだと思えばよいでしょう。[すべてのフォント] の中にも [テーマのフォント] に表示されている種類と同じフォント (たとえば「游ゴシック」) なんかがでてきますが、こちらから選んだ場合はテーマを変更しても変更されません。(「游ゴシック」のままです。)


テーマ

テーマは、Office 製品が持っているドキュメント全体のデザインを定義する機能です。いわば、着せ替え機能のようなものです。

PowerPoint の場合はわかりやすくて、リボンの [デザイン] タブにテーマの一覧が表示されており、ここからテーマを選択してプレゼンテーションの雰囲気を変えたことがある方もたくさんいらっしゃるでしょう。
テーマを変更したとき、変わるのは背景だけではなく、使われるフォントの組み合わせや色の組み合わせなども変わります。

(PowerPoint 2016 や Office 365で) 新規作成をすると、タイトルなどの文字がなぜ游ゴシックになるのか?というとそれは、既定で適用されている「Office」というテーマで定義されているフォントが「游ゴシック」だから、です。
たとえば、「イオン」というテーマの場合は、既定の日本語のフォントは「メイリオ」です。


[テーマのフォント] の 4 種類はどれがどれか

一番上から、

「英数字の見出し用」 (図の赤枠)
「英数字の本文用」 (図の緑枠)
「日本語の見出し用」 (図の青枠)
「日本語の本文用」 (図の黄枠)

の順で、表示されています。

既定で適用される「Office」というテーマの場合、英数字用と日本語用に違いがないのでわかりにくいですが、英数字用と日本語用ではっきりと違いのわかるテーマもあります。


“見出し” というのは、タイトル プレースホルダーで使用されます。サブ タイトル プレースホルダーや、箇条書きなどを含められるコンテンツ プレースホルダー、テキスト ボックスや図形の文字には ”本文” というフォントが使用されます。

たとえば図の青い図形の文字には「日本語の本文用」と「英数字の本文用」が使われており、「ここが見出し」と「123 ABC」はタイトル プレースホルダーに入っている文字なので「日本語の見出し用」と「英数字の見出し用」が使われています。


テーマのフォントを確認する / 変更する

リボンの [デザイン] タブの [バリエーション] ギャラリーの [その他] をクリックして [フォント] を選択すると、適用しているテーマのフォントの組み合わせを確認できます。たとえば、既定の「Office」というテーマでは、「(日本語見出しが) 游ゴシック Light」と「(日本語本文が) 游ゴシック」のフォント パターンが選択されていることがわかります。
この一覧でフォント パターンを選択して、背景などは変えずに、使用するフォントの組み合わせだけを変えることができます。
もちろん、ドキュメント内の文字のうち、[テーマのフォント] から選んで設定している文字のフォントの種類が変更されます。

なお、[フォントのカスタマイズ] をクリックすると、新しいフォント パターンを作成して登録するときに使うダイアログ ボックスが表示され、(登録をしなくても) 現在使用しているフォント パターンでは、英数字と日本語それぞれの見出し用と本文用で、どのフォントが使われるのかを確認できます。このダイアログ ボックスに表示される 4 つの種類がフォントの一覧の [テーマのフォント] に表示される、ということです。

 

テーマ全体を着せ替えず、フォント パターンだけ変更する

たとえば、下図で選択しているフォント パターンの場合、既定と異なり 4 種類のフォントがそれぞれ違う種類で定義されています。

こちらを選択すると、もちろん、フォントの一覧の [テーマのフォント] に表示される種類が変わり、既存の文字のうち、[テーマのフォント] を使っている文字の種類も変わります。



テキスト ボックスや図形のフォントの種類を決めるには

編集中のドキュメントで、「テーマが変わっても、これ以降ずっと、テキスト ボックスや図形の文字は〇〇にしたい」のなら、下記の箇条書きの方法で対応します。
あえて [すべてのフォント] から選択しているので、テーマが変わったとしても図形内の文字の種類は変更されません。

  • 図形を選択して [すべてのフォント] からフォントの種類を選択して、(図形を右クリックして) [既定の図形に設定] を設定する

  • テキスト ボックスを選択して [すべてのフォント] からフォントの種類を選択して、(テキスト ボックスを右クリックして) [既定のテキスト ボックスに設定] を設定する

テーマが変わったらテキスト ボックスや図形の文字も変えたい (箇条書きなどと合わせたい) と思うのなら、テキスト ボックスや図形では、[テーマのフォント] の「日本語の本文用」と「英数字の本文用」が使われる、ということを利用して、[テーマのフォント] を変更するか、自分で新しいフォント パターン (フォントの組み合わせ) を登録して利用します。


今回の内容を書こうと思ったそもそもの理由は、「PowerPoint で使うテキスト ボックスのフォントの種類って、スライド マスターのどこで変えるの?」という質問をいただいたことがきっかけなのです。

「どこで変えるの?」とはすなわち、「どこが制御しているの?」ということなので、制御している根本であるテーマ、並びにテーマのフォントの話を書きました。

テーマっていつになったらきちんと理解して使ってもらえるようになるのでしょうね。名前が悪いのかな。

石田 かのこ