Word と PowerPoint は仲良し、相性がいい、連携して利用できます。
でもこれ、Word のことも PowerPoint のこともちゃんと知っていないとできない使い方です。

Word のアウトライン レベルってなに?
PowerPoint のプレースホルダーってテキスト ボックスとなにがちがうの?
など

言い方を変えると、各製品のとても基本的なことを理解していればできる、ということです。

Word で資料の大枠を書き出しておき、


PowerPoint に取り込むとこうなります↓ あとは足りない図解すべき情報を加えたり、デザインを整えたりして仕上げます。

Word のアウトライン レベルとは

Wordでは、その段落が「本文」なのか「タイトルなどの見出し」なのかを区別するために、アウトライン レベルという段落書式を使用できます。
段落を選択して [段落] ダイアログ ボックスを表示し、[インデントと行間隔] タブの [アウトライン レベル] で、現在その段落のアウトライン レベルがどうなっているのかを確認したり、(あまりこういう手順では設定しないけれど) 「本文」以外を選択してアウトライン レベルを設定したりできます。簡単な文書作成だけをしている場合は「本文」しか使っていないことが多いです。


「本文」とそれ以外の違いを活かして利用できる場面は多々ありますが、たとえば、[アウトライン レベル] で「レベル 1」から「レベル 9」を設定している段落の文字は、[ナビゲーション] ウィンドウの [見出し] を選択したときに表示されます。図の「説明・・・」の段落は「本文」なので表示されていません。

[アウトライン表示] を使う

手順書とかマニュアルなどの目次を要するような文書を作成するときには、一番上からきっちりきっちり作っていくのではなく、大枠を書き出して、あとで本文や図を入れていく、という作り方がおすすめです。
そして、Word でこのような流れで文書作成をするときに使用したいのが [アウトライン表示] です。

リボンの [表示] タブの [表示] グループの [アウトライン表示] をクリックすると表示モードが切り替わり、リボンに [アウトライン] タブも表示されます。




新規文書で [アウトライン表示] すると、左上にカーソルがあって [-] という記号が表示されており、リボンの [アウトライン] タブの左のほうに (いまカーソルがある段落は) 「レベル 1」 (ですよ) と表示されています。

[アウトライン表示] は、文書のアウトライン=枠組み、骨組みを作ることを前提にしている表示モードなのです。
「とりあえず、文書の枠組み、プレゼン資料のスライドのタイトルになるような文字をレベル 1で列挙してください」と言っていると思えばよいでしょう。

Word の文書だったら目次に、PowerPoint だったら各スライドのタイトルになるような、大きなキーワードを入力して [Enter] キーを押し、すべて「レベル 1」の状態で準備します。


「レベル 1」として書き出した項目の下に、サブ項目を追加したいときには、段落内にカーソルをおいて [Tab] キーを押してレベルを 1 つ下げます。下図の「ログイン」と書いてある段落は「レベル 2」です。







レベルを 1 つ上げたいのなら [Shift] キー + [Tab] キーを押します。
レベルの上げ下げは、あとからでもできるので、「とりあえず全部レベル1で入力しちゃおう!」というのもアリです。



PowerPoint を主役に考えるのならば、スライドのタイトル プレースホルダーに配置したい段落は「レベル 1」、コンテンツ プレースホルダーの箇条書きとして利用したい段落は「レベル 2」以降とする、と考えます。
すべてのアウトラインが準備できたら、名前を付けて保存しておきます。
(下図では、試しに「レベル 9」まで使ってみました。) 

Word のアウトラインを使ってスライドを作る

 PowerPoint のプレゼンテーションでタイトル スライドだけが準備されています (別にあとからでもいいんだけれど)。
このプレゼンテーションに、前の手順で準備した Word のアウトラインを挿入してスライド作ります。

  1. リボンの [ホーム] タブの [スライド] グループの [新しいスライド] の文字の部分をクリックし、[アウトラインからスライド] をクリックします。


  2. [アウトラインの挿入] ダイアログ ボックスで前の手順で名前を付けて保存した文書 (Word のファイル) を選択して [挿入] をクリックします。


  3. 選択しているスライド (今回は 1 枚しかなかったから 1 枚目) の後ろに、新しいスライドが追加されます。
    このとき、各スライドのタイトルは、Word のアウトラインの「レベル 1」の段落の内容です。

    コンテンツ プレースホルダーの箇条書きは、Word のアウトラインの「レベル 2」の段落の内容です。




PowerPoint のアウトライン

スライドのプレースホルダーに含まれる文字列は、画面左側を [アウトライン表示] に変えたときに表示されます。
スライドの任意の位置に描画して使う図形やテキスト ボックスで書いた文字列は [アウトライン表示] にでてきません。
もともと PowerPoint も、[アウトライン表示] で骨組みとなる情報を入れればスライドを準備しますよ、という使い方もできるのです。

スライドを追加したときにプレースホルダーが表示されていて、「なんか邪魔!」っていってとりあえず全部消して、図形やテキスト ボックスでタイトルなどを用意する、という使い方をしていると、文書やプレゼンテーションを階層構造で管理したり、効率よく編集したりできる機会を失ってしまいます。


ちなみに、スライドのコンテンツ プレースホルダーの箇条書きは、1 段階目から 5 段階目までなら、スライド マスターで行頭文字の種類やフォントのサイズなどの書式を決定できます。

下図では、Word のアウトラインで、レベル 7 の「F」、レベル 8 の「G」、レベル 9 の「H」も、字下げして表示されていますが、これはあくまでもコンテンツ プレースホルダーの 5 段階目をベースに字下げして表示されている状態です。



PowerPoint にアウトラインを挿入してスライドを作るための手順そのものは難しくないのです。しかし、Word のアウトライン レベルのことやプレースホルダーとアウトラインの関係性を知っていないと、Word で必要な準備ができません。

Word の文書と、発表用のプレゼン資料は、同じテーマで両方を使うこともあるでしょう。
まずは思いつくままにアウトラインを書き出して、入れ替えたり上げたり下げたりしながら構成を考えて、見た目に関しては PowerPoint であとから整える、という流れもお試しくださいませ。

石田 かのこ