今回ご紹介する機能は Office 365 の PowerPoint 2016 を利用している場合の限定機能です。(2017年12月現在)
ほかのバージョンや Office 365 ではない PowerPoint 2016 を利用している場合は機能が含まれていませんのでご注意を。

ズームは、主にスライド ショーの実行時に役立てられる機能です。
事前に「ズーム」を使ってスライドの準備をしておき、スライド ショーの実行中に実際に「ズーム」してスライドを表示します。
(ややこし)

なんといったらいいのかなぁ、、、目的のスライドに移動しやすくするための画像を使ったハイパーリンクであり、作り方によっては画像版の目次みたいなものでしょうか。
PowerPoint ではもともと画像にハイパーリンクを設定できますが、スライドの画像化とリンクの設定などを同時に行ってくれるので作成の効率も良いし、あとからのスライドの追加や編集にも対応できるので利用に手間がかからなくてよいと思います。

スライド ショーの実行中に画像をクリックすると各セクションやスライドにジャンプできます。
この小さい画像からズームして拡大し、実際のスライドを表示するので「ズーム」という名前なのかな。(ちょっとしっくりきてない)
A01.png


 

設定する前に

セクションについて

PowerPoint 2010 以降のバージョンでは、「セクション」という単位を使ってスライドをグループ化できます。
ズーム機能を利用する場合に、セクションのことをわかっていたほうがよいと思うので、ご存じない方はこちらなどで確認してください。
 

ズームの種類

ズームには 3 つの種類があって、何をしたいのかによって選びます。

なお、下表で書いている「サムネイル」とは、スライドの縮小版画像だと思ってください。動きが伴うオブジェクトなので、正確にはただの画像ではないのですが、表現がむずかしいのでサムネイルとしています。
A002.png



種類

説明

サマリー ズーム

新しいスライドを挿入し、そのスライドにプレゼンテーション内のセクションごとに 1 つのサムネイルを生成して配置する

→ ズーム用の新しいスライドが 1 つ挿入される
→ 事前にセクションが設定されていない場合は選択したスライドを各セクションの先頭とみなし、プレゼンテーションに自動的にセクションが設定される

セクション ズーム

既存のスライドに、プレゼンテーション内のセクションごとに 1 つのサムネイルを生成して配置する

→ 自分でサムネイルを配置するスライドを選択できる

スライド ズーム

既存のスライドに、選択したスライドのサムネイルを生成して配置する

→ 自分でサムネイルを配置するスライドを選択できる



 

サマリー ズーム

プレゼンテーションに新しいスライドを挿入し、セクションを設定しつつ、サムネイルの生成ができる、という種類です。
もちろん事前にセクションを挿入してあってもよいのですが、ためしにセクションの設定がないプレゼンテーションで設定してみます。

こんな感じのファイル↓。先頭にタイトル スライド、末尾にまとめスライドがあり、内容的には枠のところがお話の区切りです。
A04.png

 

  1. リボンの [挿入] タブの [リンク] グループの [ズーム] をクリックし、[サマリー ズーム] をクリックします。
    A05.png

     
  2. [サマリー ズームの挿入] ダイアログ ボックスでセクションの先頭としたいスライドのチェック ボックスをオンにして選択し、[挿入] をクリックします。
    (下図では入りきっていないけれど、最後のまとめスライドにもチェックをいれています。)
    A06.png

     
  3. プレゼンテーションにセクションが設定され、2 枚目に新しいスライドが追加されて、各セクションの先頭のスライドのサムネイルが配置されます。

    下図の「まとめ」のように、セクションを区切りたかったからチェックは付けたけど、サムネイルはいらないんだよね、という場合は、サムネイルを選択して [Delete] で消してください。

    セクション名はスライド タイトルから自動的に設定されているので、変更の必要があれば適宜どうぞ。
    なお、サマリー ズームとして機能させるスライドの位置は移動できますので、こちらも適切な位置に変更してください。
    A07.png

    また、ズームで作成したサムネイルやそれが含まれる枠線を選択すると、リボンに [ズーム] ツールが表示されます。

    サムネイルに対する画像としての効果や枠内でのレイアウトのリセット、ズームの切り替えのタイミングなどの設定コマンドがまとめられています。
    A08.png


 

スライド ショーでズームを使う

前の手順で作成したズーム用のスライドを使ってスライド ショーを実行するとどんな感じでスライドが表示されていくのかを静止画で申し訳ないですが載せておきます。(ちょっとしつこい画像だけど・・・)
 

  1. スライド ショーを実行し、ズームで作成したセクションのサムネイルをクリックします。
    ちなみにこのセクションには 3 枚のスライドが含まれています。
    A009.png

     
  2. スライド ショーで、サムネイルをクリックしたセクションの先頭スライドに移動します。

    このスライドが表示されている状態でクリック (または Enter キーを押すなど) します。
    A10.png

     
  3. セクションの 2 枚目のスライドに移動します。

    このスライドが表示されている状態でクリック (または Enter キーを押すなど) します。
    A11.png

     
  4. セクションの 3 枚目のスライドに移動します。

    このスライドが表示されている状態でクリック (または Enter キーを押すなど) します。
    A12.png

     
  5. ズームを作成したスライドに移動します。(戻ってくるという感じ)
    A13.png
     

セクション ズーム

既存のスライドに選択したセクションのサムネイルを生成して配置できる、という種類です。
こちらは事前にセクションが挿入されていないと使えません。

ここでは、前の手順でセクションを挿入したファイルを使います。枠のところが各セクションで、ピンクの網掛けが設定されているセクションのサムネイルを作ろうとしています。

なお、サムネイルを配置するのは末尾のまとめスライドにします。
A14.png
 

  1. ズーム機能のサムネイルを配置するスライドを選択し、リボンの [挿入] タブの [リンク] グループの [ズーム] をクリックして、[セクション ズーム] をクリックします。
    A15.png

     
  2. [セクション ズームの挿入] ダイアログ ボックスでサムネイルを作成したいセクションのチェック ボックスをオンにして選択し、[挿入] をクリックします。
    A16.png

     
  3. 選択していたスライドに各セクションの先頭のスライドのサムネイルが配置されます。

    図形や写真などのオブジェクトと同じように、サムネイルのサイズや配置を整えます。A17.png

使い方というか、スライドの移動の流れは「サマリー ズーム」のときと同じです。
(セクション内のスライドの表示が終わるとズーム用のスライドに戻ってきます。)

 

スライドズーム

既存のスライドに選択したスライドのサムネイルを生成して配置できる、という種類です。
セクションはあってもなくても OK。
単純に、スライド ショー中に移動したいスライドのサムネイルを作る、というときに使います。
 

  1. ズーム機能のサムネイルを配置するスライドを選択し、リボンの [挿入] タブの [リンク] グループの [ズーム] をクリックして、[スライド ズーム] をクリックします。
    A18.png

     
  2. [スライド ズームの挿入] ダイアログ ボックスでサムネイルを作成したいスライドのチェック ボックスをオンにして選択し、[挿入] をクリックします。
    A19.png

     
  3. 選択していたスライドにスライドのサムネイルが配置されます。

    図形や写真などのオブジェクトと同じように、サムネイルのサイズや配置を整えます。
    A20.png

     

ズーム用のスライドに戻るための設定

スライド ズームで作成されるのは、「セクション」ではなく「スライド」のサムネイルなので、移動先は各スライドです。

既定では、たとえばスライド 6 のサムネイル (下図の青いサムネイル) をクリックするとスライド 6 に移動し、スライド 6 の上でクリックすると、次のスライドであるスライド 7 へ移動します。

ようは、このままだとズーム用のスライドには戻ってこないということです。

A021.png



ズームを使って移動したスライドからズーム用スライドに戻ってくるようにするには、対象のサムネイルを選択し、リボンの [ズーム ツール] の [書式] タブの
[ズーム オプション] の [ズームに戻る] をオンにします。
A22.png

 


この機能で生成されるサムネイルのすごいところは、ただのリンク付き画像ではないというところだと思います。

たとえば、あとからスライドが追加されてもサムネイルを作り直す必要がないし、既存のスライドの内容を変更したときもちゃんとサムネイル側に反映されます。
とはいえ、当たり前だけれど、サムネイルを作った元のスライドが削除されたりすればリンク切れにはなるので、仕上げ段階で作るほうがよいとは思います。


石田 かのこ