前回、はじめて外国人を雇用するときに受入れ企業が行うべきことをご紹介しました。
(前回コラムはこちら→はじめての外国人雇用!会社に馴染み、成果をだしてもらうために、受け入れ企業がやるべきこと。

当社では、ベトナム人を中心とする海外人材を日本企業にご紹介しています。

多くの外国人が活躍している中、残念ながら、短期間で退職してしまう人もいらっしゃいます。

退職に至るには様々な事情がありますが、その中でも、社内での日本人とのコミュニケーションが問題であることが多いです。

どうすれば、日本人と外国人が円滑にコミュニケーションをとることができるのか。その答えは、日本の文化や言語の特性を知ることにあるようです。

円滑なコミュニケーションが取りづらいのは、外国人と日本人の間だけではなく、日本人同士の世代を超えた関係にも当てはまるかもしれません。若者は、かつては”新人類”、最近では”Z世代”などと呼ばれ、いつの時代も中年以上の人たちから、同じ日本人であっても同じ文化を共有しているとはいいがたいと思われています。

日本の文化・言語の特徴

日本の文化・言語は「察する文化・高コンテクスト言語」と呼ばれています。コンテクストとは「文脈」のことで、実際に言葉として表現された内容よりも、言葉以外の意味を察して理解するコミュニケーションです。話し手ではなく、聞き手に依存しており、正しく伝わらなかった場合は聞き手の問題とされます。

会社で、新入社員に対して、中堅以上の社員が「最近の若い子は言われたことしかしない」「気が利かない」と言うのを聞いたことはないでしょうか。これは、新入社員に「気が利く」ことを求めているから、出てくる発言です。

言われたことをやっていても100点満点の評価はせず、「言われたことの裏にあるものまで感じ取って、行動してほしい」と期待しているのです。

また、「目配り」「気配り」「心配り」という言葉があるように、言葉で表現されない相手の意図を察するために周りにあらゆるものを「配る」ことが日本人の美徳とされています。

そのほか、「以心伝心」「ツーカー」「忖度」「言わぬが花」というように、言葉にしなくても理解しあえることを前提にした言葉にも事欠きません。これらは日本ならではのものです。

欧米の文化・言語との違い

これに対し、欧米の文化・言語は、「自己主張する文化・低コンテクスト言語」と呼ばれ、言葉にした内容のみが情報として伝わるコミュニケーションです。話し手に責任があり、話が伝わらないのは伝え方が悪いとされます。

欧米に行くと、常に遠慮がちではっきり物を言わない日本人の意見は通らないと言われます。これは、日本人の性格による部分もあるかもしれませんが、文化・言語の違いでもあるのです。

文化・言語は、長年の経験の蓄積で形作られるものです。島国で移民を受け入れてこなかった日本人は、よく似た経験をもつ者同士の集まりなので、自然と「言わなくてもわかる」が定着してしまったのでしょう。

各国の文化・言語を比較すると、日本は高コンテクストの最高位で、そのほかでは、中国やインド・アラブの国々も高いようです。逆に、アメリカ・ドイツなどが低コンテクストの代表と言われています。

「高」「低」とありますが、優劣をいうものではなく、単にコミュニケーションの取り方の違いです。日本に来た外国人は、どの国の人でも間違いなく、日本人の言葉を曖昧と感じ、真意のわかりにくさに苦労しているようです。

まとめ

日本の高コンテクスト文化・言語は、日本人らしさを形成しているものであり、大切にしていかなければなりません。が、ビジネスの場面では、望ましくないときもあります。

長年同じ集団の中にいると、その集団の中だけで通用しているものが何か、わからなくなっているかもしれません。

そのため、外国人や新入社員など、集団の中に所属した経験が少ない人が入ってきたときには、特に注意が必要です。

「伝えたいことはきちんと言葉にする」というとてもシンプルなことを実践するだけで、異なる文化の中で育った人とのコミュニケーションが円滑にできるようになります。

日本の文化・言語の特性を知り、場面や相手により自身のコミュニケーションスタイルを少しだけ見直してみてはいかがでしょうか。

当社では、海外人材や新入社員など、あらゆる階層の社員が活躍できるよう生活・就業サポートや研修を行っています。ご興味のある方は、こちらまでご連絡ください。

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第4回はじめての外国人雇用!会社に馴染み、成果をだしてもらうために、受け入れ企業がやるべきこと。
第5回:外国人社員とのコミュニケーションを円滑に!伝わらない原因は、話し手?聞き手?