前回、外国人を採用するときに注意が必要な「在留資格」について、ご紹介しました。
(前回コラムはこちら→ 外国人採用!在留資格は大丈夫?新卒採用も中途採用も事前チェックしよう!

今回は、はじめて外国人を雇用する企業が、入社までに行うべきことをお伝えします。

はじめて外国人を雇用する場合、従業員が外国人社員とどのように接したらいいか戸惑うことも多いようです。

採用に関わった人は、外国人を雇用する意図や期待する役割を十分理解しているはずです。また、選考の過程で、外国人社員の日本語レベルの把握や、パーソナリティの理解も深まっていると思います。

しかし、いきなり外国人社員の配属が発表され、「来月から外国人が入社するから頼むよ!」と言われたら、受け入れ部署としてはどうでしょうか。「えっ、日本語はどのくらい話せるの?」「仕事はどうやって教えたらいいの?」「文化が違うから、言ってはいけないこととかあるの?」と大慌てになるかもしれません。

採用の際に、外国人の配属予定部署の上司が選考に関わっておくのが一番いいのですが、企業によっては役員や人事部門担当者のみで決定ということもあります。その場合は、特に注意が必要です。

外国人社員が、入社後できるだけ早く会社になじみ、成果を出せるかどうかは、企業の受け入れ体制が大きく影響してきます。

 

そこで、当社からのご紹介で外国人採用が決定した企業には、受け入れ体制を整えるために、次のお話をしています。

受け入れ企業が事前に準備すべき3つのこと

1.外国人を採用する意図・意義を理解する

1つめの準備は、社長や役員の方から、従業員の皆さんに外国人を採用する理由と役割をきちんと説明していただくということです。

配属となる部署の人はもちろん、できるだけ広い範囲の人に伝えることをお勧めします。

日本語や日本の文化に不慣れな外国人社員がスムーズに業務を行うためには、周りの人の理解と協力が重要です。最初は、意思疎通がうまく図れないこともあります。そのときに周りの人が外国人を雇用する意図・意義をわかっていれば、温かい気持ちで、長い目でみることができるのではないでしょうか。

2.外国人の母国を知る

2つめに、従業員の皆さんに、外国人社員の母国について興味を持ってもらうことが大切です。私は、母国に関する豆知識をお伝えするようにしています。首都・人口・名物料理・有名な観光地といったガイドブックに載っているような情報です。

些細なことですが、入社した会社で、周りの人たちが母国について興味・関心をもってくれていたら、うれしくなって、ぐっと距離が縮まりますよね。そこからコミュニケーションが始まります。

 

また、一般に言われている国民性や気質、仕事に対する考え方などについても説明します。当社のベトナム人社員が、自身が初めて日本に来たときに驚いたことや困ったことなど、実体験を交えたお話もしています。

宗教上の、お祈り時間の確保など特別な対応が必要であれば、外国人社員の了承を得て、従業員の皆さんにお伝えし、外国人社員の母国では一般的な習慣であることを理解しておいてもらうといいでしょう。

3.日本人は日本を知る

3つめに、日本の文化や言語の特性についても理解しておく必要があります。

グローバル化が進み、他の文化や言語に触れる機会は増えていますが、自分たち自身の文化・言語について深く考える機会はあまり多くないように思います。他者を知るには、まず自己理解が大切です。

日本の文化・言語は、島国で単一民族に近いので、「少し変わっているのかも」くらいに思っている人がいるかもしれませんが、実際のところ、世界的にはかなり特異な分類に位置づけられています。

日本の文化や言語は、「察する文化」「高コンテクスト(文脈)言語」と呼ばれています。

詳しくは次回お伝えしますが、簡単にいうと、日本では、話し手が物事をはっきり伝えず、聞き手が気を利かせて言わなかった部分を補って理解することで、コミュニケーションが成り立っています。

そのため、外国人からすると日本人の話は、曖昧でよくわからないとなることが多いようです。

外国人社員に業務指示がうまく伝わらない理由は、日本語能力不足ではなく、このような特性によるものかもしれません。従業員の皆さんが自らの文化や言語の特性を知ることで、互いに歩み寄るためのヒントを見つけられるはずです。

まとめ

外国人社員を受け入れるときは、

  • 受け入れる意義を十分理解し、相手のことに興味をもつ。
  • 私たち自身のことも知った上で、お互いの違いを理解する。

この点をクリアできれば、最初は多少の困難はあるかもしれませんが、外国人社員と日本人社員がともに成長しながら、進んでいけると思います。

当社では、在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」で就業を希望する外国人材の紹介を行っています。人材をご紹介するだけでなく、受け入れから入社後のサポートまで行っていますので、ご興味のある方は、こちらまでご連絡ください。

【外国人材とともに働こう!】

第1回外国人を雇うのはハードルが高い?数字からみる外国人雇用
第2回外国人を採用したいけど何から始める?成功のための3ステップ
第3回外国人採用!在留資格は大丈夫?新卒採用も中途採用も事前チェックしよう!
第4回:はじめての外国人雇用!会社に馴染み、成果をだしてもらうために、受け入れ企業がやるべきこと。