2020年から2021年にかけて、コロナウイルスにより経済は大きな打撃を受け、「新しい働き方」の定着に伴うリモートワークの増加、製造業や医療・教育業界での遠隔業務の増加など、私たちのワークスタイルは変化してきました。一方で、IT業界は全体的に上向き成長の可能性が高まってきています。従来のエンジニア不足に輪をかけて、2030年には60万人以上の規模でエンジニアが不足すると言われています。

そんな中、オンラインのプログラミングスクールを受講するなど、IT技術を習得される方の割合が増えています。求職相談をされる方の中でも、プログラミングコースを受講後、ITエンジニアへの転職(キャリアチェンジ)を希望される方が目立ちます。将来性に期待できること、自身のスキル次第で、収入面や雇用形態、勤務場所などに融通が利くことなどが、理由の一端と推測されます。

今回はITエンジニアへのキャリアチェンジを考えている方に、何に気を付けて転職活動を行えばよいのか、いくつかポイントをお伝えしたいと思います。

ITエンジニアの求人「未経験OK」は本当?

ITエンジニアの不足感が高まっている中、未経験層の採用を始めている企業も少しずつ増えています。キャリアチェンジを目指している方にとっては朗報と言える流れです。

しかしながらその動きはまだまだ限定的で、学校卒業後2~3年以内の第2新卒、理系出身者等の条件がついていることが多く、年齢、経験に全く関係なく門戸を開いている企業は少ないのが現状です。

地方に行けば行くほどこの傾向は強くなります。人的余裕のある首都圏大企業とは違い、教育やOJTにリソースを割けない地方企業が非常に多いためです。「本音を言えば即戦力が欲しいが、今の状況を考えると、未経験者層も採用せざるを得ない」というスタンスでの採用が、未経験者求人であると考えてよいでしょう。

未経験者のキャリアチェンジは、まだまだハードルの高いチャレンジだと考えてよさそうです。

それでは、30代以上、文系出身といった方がITエンジニアに転職するには何が必要なのでしょうか。

ITエンジニアに転職するために必要なアクション

①自身で一定のレベルまでITスキルを学ぼう

先ほど出てきたオンラインのプログラミングスクールなどで学ぶことも、その方法の一つです。費用と時間をかけて学んだプログラミングの知識は、決して無駄にはなりません。転職前に実際にプログラミングに取り組むことで、理想と現実のギャップを埋めることも可能です。そこまで時間も費用も避けない方は、教則本などの書籍でもよいので購入し、まずはプログラミングがどういうものなのか、触れることから始めてみてください。

これからキャリアチェンジしようとしている業界で必要な「プログラミング」は、誰でも、いつでも、学ぼうと思えば学べるものです。まずは一つの言語を決定し、それを勉強することから始めてみましょう。Java、PHPといった言語はWeb上にも文献やリソースが多く、取り組みやすい言語です。実際の業務システムにも多く使用されているため、学んでおくと有利になる言語としておすすめします。

②認定資格を取得してスキルを見える化しよう

プログラミングスキルは、なかなかレベルを図りづらいものです。実際に作成したソースコードを見てもらうことができれば、その力量は大まかに図れます。しかし転職活動は書類選考から始まる事がほとんどのため、ソースコードを見てもらえる機会は数少ない状態です。

そのため、履歴書などにも記載可能な公的資格の取得を検討しましょう。

JavaであればOracle社が認定している「Oracle Certified Java Programmer (Oracle認定Javaプログラマ)」が有名です。PHPであればPHP技術者認定機構が認定する「PHP技術者認定試験」がよいでしょう。いずれも有料で受験する必要があります。

「認定資格を持っている=即戦力」という認識をする企業は、残念ながらほとんどありません。しかしプログラミングについては一定知識のスキルを持っており、全くの未経験者に比べて教育コストがかからない、即戦力化まで早いというアピールにはなります。

試験勉強も必要になりますが、本気でIT業界への転職を目指しているようでしたら、是非検討してください。

③自作アプリやシステムでアピールしよう

ITエンジニアとしてのスキルをアピールするためにとても有効なのが、自分で、動くシステムを作ることです。実際に動いているシステムをポートフォリオ代わりに提示することで、自分の開発スキルを見てもらうことが可能です。「自分はこのくらいのシステムを作る知識とスキルがあります」という強力なアピールになります。

実は一つの言語のプログラミングを学んだだけでは、システム開発はできません。

例えば皆さんがよく見かけるECサイトなどは、複数の技術の組み合わせで開発され、動いています。PHPやJavaなどで開発されるプログラムは、その一部を担っているにすぎません。実際にはWebページを表示するためにHTMLや、CSS、JavaScriptといった技術の知識が求められますし、ユーザーによって入力されたデータを格納するためにWebサーバーやデータベースサーバーについての知識が必要となってきます。

ITエンジニアになるということは、システムがどのような技術の組み合わせで構成されているかを把握し、それぞれの設計、構築方法に通じている必要があるということです。

実際に自分で動くシステムやアプリを開発するには時間がかかると思います。相応の努力をしなくては完成までこぎつけないでしょう。しかしそれでも、そこまでできても、即戦力レベルのITエンジニアとは言えません。ユーザーの業務や要望をきちんと理解し、システムを設計、開発していくための文書作成やヒアリングのスキルは実際の業務の中でしか磨けないものです。

また、複数人で一つのシステムを作り上げていくためのプログラミング技法やスケジュール管理技法、情報共有の方法といったものも身につけなくてはなりません。

実際に一人で動くものを作れる、そのレベルに立って初めてITエンジニアとしてのキャリアのスタートラインに立てています。厳しいようですがそれがITエンジニアです。

ITスキルの研鑽と転職活動を両立する

いかがでしたでしょうか。

ITエンジニアへの転職を本気で考えるのであれば、ITスキルの研鑽を重ねながらの転職活動をおすすめします。時間もコストもかかる道のりになりますが、そこで得たものは必ず将来自身の血肉になりますし、決して無駄にはなりません。

転職を考えてはいるがどこから手を付けていいのかわからない…。
スキルは一定身につけたが、どうアピールしていいのか分からない…。

そういったご相談に対しても真摯に対応させて頂きますので、是非お気軽にご相談ください。