ここ数年、いわゆるアラフィフ層の女性からの転職相談が増えています。

ご相談に来られる方の多くは、結婚や子育てをきっかけに家庭に入り、40代半ばまでは子どもと家族が中心の生活をされていた方です。

子どもが進学するなど時間的な余裕がでてくる半面、学費が増えてきたり、自身の老後や親の介護資金など、金銭面の心配や準備が必要になってくる年代でもありますので、やりたい仕事や安定した働き方を希望し、転職のご相談に来られるというわけです。

そこで、このコラムではアラフィフ世代の女性の転職を考えてみます。

一番人気の「正社員・事務職」を希望する50代女性たち

ご相談にお越しになる50代の女性の皆さま、「正社員になりたい」と、口と揃えておっしゃいます。そして「できれば事務職が希望」と。さらには、「土日休み」「通勤時間(自宅から近い)」など、希望条件もたくさんあることが多いです。

厳しいことを言うようですが、 残念ながら現実的にアラフィフ女性が「正社員の事務職」に就くのは、相当ハードルが高いです。可能性がゼロではありませんが、「正社員の事務職」への転職は、どの世代からも一番人気の求人です。有効求人倍率がぐっと下がるので、アラフィフ女性でなくても、正社員事務職への転職はかなり難しいのが現実です。

「どうして正社員(事務職)がいいのですか」と尋ねると、「安定してそうだから」「長く働きたいから」「給与をアップしたいから」などの回答が返ってきます。

「どうして土日が休みが希望ですか」と尋ねると、「子どもが小学校のころから続けてきたパートも、土日を休みにしてもらってた」「主人が週休二日だから」などの回答が返ってきます。

これまでのお仕事探しでは、家庭や子どものことを優先するため、「時間」や「休日」「勤務地」などを優先にしてきた方も多いはず。でも、この世代は子育てがひと段落して学校行事が減っていたり、多少融通が利くようになってきている人が多いのです。

じっくり話を伺っていくうちに、「子どもも手が離れたから、土日とも休みでなくても大丈夫」「夕方に余裕があれば、朝早いのは大丈夫」「若いころ〇〇〇な仕事をしてたから実はXXXが得意」と、条件が広がったり向いている仕事がわかってきます。

コレじゃなきゃ‥と選択の幅を狭めるよりも、可能な選択肢を増やしていく方が理想の働き方や希望のキャリアを実現する近道になりやすいです。そして、ご相談に来られていろんなお話をさせていただくうちに、応募できる求人の幅が広げられる方も数多くいらっしゃいます。

アラフィフ女性ならではの強みを活かす50代女性のキャリア戦略

人生100年時代、生涯現役といわれ、35歳転職限界説が言われなくなって久しいとはいえ、年齢が上がれば上がるほどハードルは低くありません。

”働きたい”を実現するために、その年代特有の強みを活かしていくことが大切です。
50代女性にも、他の世代にはない強みがあります。

年齢からくる経験値

年齢的に人生における様々な行事を経験しているため、人生経験が豊富です。一から十まで説明せずともTPOを理解し、気が利く、気遣いができる人が多いのも特徴です。また、「親しみやすさ」や「落ち着き」があるのもこの年代の女性です。新しいことへのチャレンジ精神も大切ですが、これまでの経験は最大の強みになります。

コミュニケーション力の高さ

子どもから高齢の方まで、あらゆるコミュニティで幅広い世代との交流をしてきました。その中で高いコミュニケーション能力を培ってきています。

新卒世代の課題がコミュニケーション力であるのに対し、アラフィフ女性のコミュ力は抜群です!ご本人はとりわけ意識していなくても、転職後に職場の潤滑油・ムードメーカーになったという話もよく聞きます。コミュ力が最大限に発揮された事例だと思います。 

仕事に集中ができる環境

子どもが成長して時間に余裕がうまれます。学校行事や子どもの体調など、家庭に振り回されることがなくなります。ある程度の融通が利き、突発的な休みを取る機会が減るので、採用する側も安心です。仕事ができる環境を最大限に生かすことで、求人の選択肢が広がります。

50代女性こそが生かせる「経験」という武器があります。年齢を重ねたことで得られる経験や落ち着き、高いコミュニケーション能力を求めている業界・職種があります。

50代女性の強みや特性が活かせる業界・職種

コミュニケーション能力の高さと物腰の柔らかさは、サービス関連や医療・福祉業界で生かすことができます。

医療・福祉業:介護職

介護職は利用者である高齢者の方とのコミュニケーションも重要な仕事です。利用者だけでなくその家族まで、多様なコミュニケーションを必要とする福祉現場では、年齢とともに培った社会性や気遣いが生きてきます。また、研修制度が充実していることが多く、未経験でも正社員をめざしやすいですので、早めにキャリアチェンジするのもおススメです。

サービス業:販売職

販売する商品や対象者をしぼった商品が多くあります。親しみやすい雰囲気で礼儀のある話し方、言葉使い、マナー等、それぞれの世代に合わせた対応ができます。

コールセンター:テレフォンオペレータ

相手が見えない電話のお仕事は、相手への思いやりと気遣いが求められます。人生経験が豊富な50代女性の高いコミュニケーション力を生かすことができます。 

このように、50代女性特有のスキルが求められている業界や職種なら、未経験・ブランクがあっても採用される可能性が高く、正社員になる可能性も高くなります。

なぜ50代女性の転職が難しいのかを理解する

繰り返しになりますが、とはいえ若い頃より転職が厳しいのは現実です。その理由を客観的に理解しておきましょう。

年齢の壁

50代女性は、若い頃に比べて仕事が覚えられなかったり、体力的に無理が利かなくなってきています。また、良くも悪くもさまざまな経験をしています。以前のやり方や前の会社のやり方にこだわりがあったり、自分のやり方を曲げないなどすると、扱いづらいと思われがちです。

仕事経験が少ない・ブランクがある

正社員で就職した数年後に結婚や出産を機に退職して家庭にはいった女性が多い世代です。40代半ばまでは子育てがメインで「仕事」より「家庭」を優先していたため、どうしてもブランクがうまれ仕事の経験は少なくなります。

20代のころは事務職だったといっても、社内のIT機器も進歩し、仕事のやり方も大きく様変わりしています。以前の経験が必ずしも生かせる環境ではなくなっています。

こういった理由で企業から警戒される傾向があるということ理解して、面接の対策や志望動機のヒントにするといいですね。

 

まとめ

一般的に、企業は「即戦力」として活躍してくれる人材を求めています。その中で、50代女性のスキルを「戦力」として求めている業界・職種があり、多くの女性が活躍しています。まずは、自分自身のキャリアの棚おろしをして、今もっているスキルと経験を把握すること。また希望条件を見直すことで、就職の可能性がひろがります。

「もう50代」「まだ50代」は考え方しだい。
新しいことにチャレンジできる体力も意欲もある50代の今だからこそ、できる就職活動があるのではないでしょうか。

ぜひ一度お気軽にご相談ください。一緒に理想の働き方を探しましょう。