働き方改革の一環で推進されている、場所や時間にとらわれない働き方「テレワーク」。会社全体の働き方改革を実現するための重要な方法として期待されています。

クリエアナブキではテレワーク導入の課題を洗い出すべく、テレワーク推進のための国民運動「テレワーク・デイズ2019」に参加した時の体験談をお伝えします。

テレワークとは

時間や場所を有効に活用できる働き方

「テレワーク」とは、tele=「離れたところで」work=「働く」という意味の造語で、ICT(情報通信技術)を活用し時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の事を指します。育児や介護を行う一部の従業員のための福利厚生だけではなく、今年は台風など自然災害による交通公共機関の計画運休も相次ぎましたので、導入を検討している企業の方も多いのではないでしょうか?

全国のテレワーク導入率は19%に

テレワークは全国でどのくらい普及しているのでしょうか?総務省「平成30年通信利用動向調査」によるとテレワークを導入している企業は全体の19.0%、導入予定も含めると26.1%になります。平成30年は前年と比べて導入率が5.2%増加しています。

 

 

導入状況は企業規模によって差があり、300~499人規模で21.4%、1000~1999人規模だと34.7%と企業規模が大きくなればなるほど導入する企業が多い傾向があります。また、業種別では「金融・保険業」「情報通信業」が3~4割と導入率が高くなっています。

 

テレワークは管理が難しいという声も

場所や時間にとらわれない働き方が魅力のテレワークですが、導入率は全体の2割ほどでまだまだ一般的な働き方とは言えない状況です。テレワーク未実施の企業を対象としたアンケートでは、テレワークを導入しない理由として「テレワークに適した仕事がないから」が全体の73.1%と最も高くなっています。産業別のテレワーク導入状況で導入率が少なかった運輸・郵便業やサービス業などは場所が限られる業務が多いため、導入が進んでいないと考えられます。他には「業務の進行が難しい」「情報漏えいが心配」「導入するメリットがよく分からない」などの意見があり、管理面の課題をあげる企業も多いようです。

「テレワーク・デイズ2019」に参加

テレワークという働き方が会社にとって良いかどうかはその会社の業務や事情によります。クリエアナブキは従業員の意識面の変革と課題の洗い出しなどを狙い「テレワーク・デイズ2019」に参加しました。

「テレワーク・デイズ」について

2020年オリンピック開催に向けての交通混雑の緩和と働き方改革の全国展開を目的として、2017年から毎年「テレワーク・デイズ」が開催されています。7月~9月の約1ヵ月を実施期間と設定して、企業にテレワーク実施を呼びかける取り組みです。

テレワーク・デイズ 公式サイト https://teleworkdays.jp/

クリエアナブキでの取り組み

クリエアナブキではかねてより柔軟な働き方の推進と従業員のワークライフバランスの向上に向けて、コアタイムなしのフレックスタイム制導入、業務プロセス改革のための社内プロジェクトの発足などの取り組みを進めています。テレワークもその取り組みの一環です。

2019年8月中の3日間をテレワーク期間に設定、全国11拠点の管理職やキャリアコンサルタントなど全従業員の約25%にあたる対象者が一斉にテレワーク (モバイルワーク、在宅ワーク等)を行いました。

対象者のほとんどは、日ごろから出張などの機会も多く、これまでにも社外でモバイルPCを使って業務をしています。また、LINEWORKSというビジネスチャットツールでちょっとした連絡・相談に利用しています。

外出先での業務ということには慣れていましたが、3日間続けての一斉のテレワークは初めての試みでした。業務の様子はどう変わるのか、テレワークする側と社内で対応する側の両方の感想を聞いてみました。

テレワーク体験談

テレワークする側

・主な業務:webマーケティング、広報業務、企画業務

通勤時間が無い分、いつもより早めに業務の準備をするなど時間を有効利用出来ました!自宅だと集中して作業が出来るので、まとまった時間が必要な業務や集中して考える業務などはいつも以上にはかどりました。ただ、オフィスに居れば自然に入ってくるような細かい情報が入ってこないので、ちょっと寂しいなと思いました。テレワーク制度は、週に数回からでもぜひ実施してほしいなと思いました。

社内で業務する側

・主な業務:コラム用の文章作成、広報用のデザイン業務

 

社内で業務をしていたのですが、オフィスに人が少ない状態でも問題なく業務を進めることが出来ました。業務の進捗確認にはチャットツールや電話で十分可能でした。外部からの電話についてはもともと頻繁にかかってくる部署ではないので十分対応できましたし、かかってきても対象者がテレワーク中である旨をお伝えすると理解のある方が多く、連絡手段を切り替えて下さったのが印象的でした。

体験を終えて

テレワークを体験した他の対象者からも感想を聞き、良かったところ・課題に感じたところをまとめてみました。

◇良かったところ

  • 共有フォルダまで外で見る環境が整い、外で仕事する機会も多く、違和感は無かった
  • ハード面の環境が整ったことで、実際にテレワークが可能である事が体験できた
  • 通勤時間が圧倒的に短くなるので、その分の時間が有意義に利用できる
  • 外線や内線、自席での会話がなくなるため集中して仕事ができる
  • 家事や育児、介護なども自宅勤務が可能になれば隙間時間でも仕事が出来ると想像できた
  • 外出しない分、無駄なお金を使わなくて済む
  • 身なりを気にしなくて良い
  • 国の施策に協力した取り組みは会社のイメージアップに繋がったと感じている

◇課題に感じたところ

  • 通信速度が遅い、ファイルを開くのに時間がかかる、パソコン動作でストレス
  • 自宅以外の場所(図書館とカフェ)を試したが、PC画面の覗き見等の危険を感じた
  • 書類印刷が必要な場面で困った
  • 自己管理だけで生産性向上を実現するのは困難、他者の目が無い分、誘惑に負けそうになる
  • 社内コミュニケーションの絶対量が減ることにより、孤独感があった
  • タスク共有や業務の進行管理などの仕組みが必要だと感じた

通勤時間が無いことや隙間時間を有効活用できることなど時間の使い方のメリットを感じる意見も多かった一方で、タスク管理や自己管理が難しい、社内コミュニケーションが減るとの意見もありました。また、パソコンの操作やネット環境などの作業環境については十分対応出来ると感じる人と不十分と感じる人に分かれ、メリット・デメリット両方の意見がありました。

意見はさまざまでしたが、今回の体験では、参加した人それぞれが実体験を持ってテレワーク導入の課題の洗い出しができたとともに、テレワーク導入も現実的だと実感できたのが大きな成果でした。

テレワーク体験で働き方の見直しを

セキュリティやシステム、ネットワーク環境は日々進化しています。社員の働き方への考え方も時代とともにどんどん変わっていきます。そんな中、すべての課題を解決するには大変な工数が必要だといえるでしょう。

クリエアナブキにおいては、一部かつ数日の体験から、テレワーク導入のために必要なことが見える化されました。なにより参加した人たちの働き方や会社に対する意識も変わりました。テレワークの必然性を感じている企業の皆さまも、数日・数人規模からでも試してみてはいかがでしょうか。テレワーク導入への一歩が、働き方改革の促進や社員定着率の策にもつながるかもしれません。