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ここ数年労働力人口の減少や求人倍率の記録更新などのニュースが続き、全国的に求人市場は売り手市場と言われ続けています。最近なかなか思うように採用が進まないと感じている採用担当者の方も多いのではないでしょうか。地方だから若い人材が少ない、正社員で働いてほしいと思えるようなスキルを持った人材がいないなど人材採用に手間取っている中、人手不足で現場が回し切れなくなり、新たな退職者が出て更に現場が困窮する…という状況も珍しくありません。

そんな中、働く意欲とスキルは十分なのに、ライフスタイルにあった働き方・機会が無いと求職をあきらめている人が多いというデータもあり、そういった人材をいかに採用するかが人手不足を解消する鍵となっています。

就業希望者は全国で331万人も

2018年度の有効求人倍率は1.47~1.73倍と年間を通して高い水準をキープしており、職種や地域によって差はありますが、総じて求職者が求人を選ぶことが出来る状況になっています。そんな中で人材を確保するためには、「就業を希望しているが、求職活動をしていない人」が潜在していることにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

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2018年労働力調査結果(総務省統計局)によると、2018年平均の非労働人口(4,240万人)の中でも「就業希望者(就業を希望しているが求職活動をしていない人)」は全国で331万人となりました。男女比で見ると女性が237万人、男性は93万人と女性の方が男性よりも2.5倍も多い傾向にあります。男女年齢階級別の割合をみると男性は15~24歳が31.5%と最も多く、女性は35~44歳が27.7%と最も多い傾向にありました。

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また求職活動をしていない理由として、男性は「適当な仕事がありそうにない」女性は「出産・育児のため」と回答する人が最も多くなりました。この結果から「就業を希望しているが求職活動をしていない人」の中には「仕事がしたいと考えているが出産・育児のために求職していない女性」が多く存在するということが考えられます。

子育て世代の潜在的労働力の活用

子育て女性の傾向と人材としての魅力

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子育て女性の中には働く時間や場所などの就業条件が限られる分、集中し真面目で責任をもって業務に取り組む方が多く存在します。そして、家事や育児で培った段取り力やコミュニケーション能力が活きる場面も多いと聞きますし、働いていた経験を持つ人であれば即戦力を期待できる優秀な人材として活躍できるでしょう。実際に子育てをしながら働いている女性の中には子育て以外にも評価される場ができて自分に自信を持てた、家で子どもとずっと向き合っていた時よりも子どもにやさしく接するようになったなどの意見もあり、収入面以外にも様々なメリットを感じやりがいをもって仕事に励んでいる方が多いようです。

子育て女性の潜在労働力を活用した事例

(写真はクリエ×ママスクエア高松の様子)

子育て女性の潜在労働力を活用した事例として、「託児所付きオフィス」が注目を集めています。託児スペースと親子カフェを併設した埼玉県川口市の「ママスクエア」が初めてオープンした時には、保育所問題解決と、これまで働きたくても育児に追われて活躍する場を失っていたママの願いを同時に叶える場所としてメディアからも注目されました。通常ならあまり求職者が集まらないコールセンター業務でも応募が殺到するそうです。子どもを安心して見守れる環境やママ同士で助け合う体制や風土に魅力を感じる人は全国的に多く、各地でママスクエアがオープンするたびに注目を集めています。中四国エリアでも2018年12月に「クリエ×ママスクエア高松」がオープン、2019年7月には「クリエ×ママスクエア広島」がオープン予定となっており、いずれもオープン時の募集定員を大きく上回るほど応募が集まっています。

クリエ×ママスクエア
 https://www.crie.co.jp/mamasquare/

主婦向けの時短勤務やリモートワークで働ける仕事は最近増加してはいますが、まだ十分ではありません。また形ばかりの制度ではなく、時短勤務や突発的な休みがあってもフォローしあえるような育児に理解のある風土を整え、働く意欲を持った子育て女性が力を発揮できる仕組みを作ることが重要と言えそうです。

子育て世代の活用のためには社内業務の見直しを

働く時間や場所などの就業条件が限られる優秀な人材を採用するためには、求職者の希望条件にあった働き方が提案できるような社内のしくみを考えてみましょう。例えば、実際に社内で行っている業務の内容やフローを見直し、会社にとって本当に重要な業務は何か、ムダな業務や重複している業務がないかなどを整理してみます。業務の内容を整理することで、会社にとってコアな業務は何かが見えてきますし、フルタイムでしかこなせないと思っていた業務も、時短やリモート・外注などで消化できる可能性が見えてきます。そうすれば子育てなどの理由でフルタイムでは働けない優秀な人材を採用することで、人材不足を軽減することができるかもしれません。また、採用した人材の知識や経験を活かすことができるので更なる業務効率を実現、そして社員が今後のワークライフバランスを考える時に働き方の選択肢の幅を広げることにもなり、会社全体の社員定着率も上がるのではないでしょうか。

まとめ

2019年4月から働き方改革関連法案が次々と施行され、企業は従業員の働き方について考えざるを得ない状況となっています。また、少子高齢化による労働力人口の減少による人材不足はますます深刻になっていく可能性があります。潜在労働力を活用していくためには、多様な働き方を受け入れる企業のしくみや姿勢が必要と言えそうです。将来に向けた労働力の確保のためにも、柔軟な人材活用を検討してみてはいかがでしょうか。