最近の採用現場を見ていますと、AIの存在感がぐっと増してきました。書類選考の効率化、面接日程の自動調整、さらにはチャットボットによる候補者対応まで、活用シーンは多岐にわたります。数年前までは「未来の話」だったものが、今やすっかり日常のツールとして定着しています。
私たちの業務を楽にしてくれる一方で、ふと「このままで本当によいのだろうか」と立ち止まることも増えてきたのではないでしょうか。

学生側の状況を見てみますと、エントリーシートをAIで生成することは、もはや当たり前になっています。志望動機も自己PRも、AIが作った「それらしい文章」が並んでいます。一方、企業側も書類選考にAIを活用し、キーワードでふるいにかける。結果として、AIが作った文章をAIが選ぶという、なんとも不思議な状況が生まれているように感じます。
この流れの中で、本来見たかった「その人らしさ」がどんどん見えにくくなっているのではないでしょうか。学生は効率化に追われて自分の言葉で語る機会を避け、企業は本質的なマッチングよりもデータ処理に時間を取られてしまう。お互いに楽になったはずなのに、採用のミスマッチは減っていません。むしろ、入社後に「思っていたのと違った」という声が増えているようにも感じられます。
では、どうすればよいのでしょうか。すでにいくつかの企業では、AIとオフラインを組み合わせた取り組みが始まっています。
同社では、AIで初期スクリーニングを行った後、必ず対面での「カジュアル面談」を設けています。ここでは評価をせず、学生が自分の言葉で語れる場を大切にしているそうです。(出典:日本経済新聞「採用DX最前線」2023年)
AIゲームで適性を見た後、最終段階では必ず職場でのジョブシミュレーションを実施。実際の業務を体験してもらうことで、双方のミスマッチを防いでいます。
(出典:HR Technology Conference 2023レポート)。
書類選考にAIを活用しつつ、選考過程で複数回の社員との1on1機会を設定。オフィスツアーも必須プロセスとして、企業文化との相性を重視しています。(出典:HR Note「新卒採用の最新トレンド」2024年)
これらに共通するのは、AIが効率化してくれた時間を「人と人が向き合う時間」に投資している点です。テクノロジーに振り回されることなく、「人の温度感」を大切にする採用を、改めて見直してみてはいかがでしょうか。
※本コラムで紹介した事例は、各種メディアで報道された内容を参考にしたものです。実際の導入を検討される際は、各社の最新情報をご確認ください。

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